4月、米国防総省の高官らは、ゼネラルモーターズやフォードを含む企業の幹部と、兵器や軍需品の生産について協議したと報じられた。筆者の見方では、国防総省がデトロイトに声をかけたのは、デトロイトには同省が把握している連絡先があったからだ。それ以外の製造基盤は、実務上、同省には見えていない。
米国のどの産業回廊を歩いてもよい。バッファローからクリーブランドに至るI-90沿い、カロライナ州のピードモント地域、ウィスコンシン州の湖畔郡、テキサス州のメキシコ湾岸。そこでおそらく目にするのは、家族経営の機械加工工場、鋳造所、食品加工業者、プラスチック成形業者、農業・医療機器メーカー、精密工具メーカーである。その多くは何世代にもわたって続き、社内にしか存在しない数十年分の工程知識を蓄積している。彼らは、経済の多くの完成品が依存する部品やサブアセンブリーをつくっている。実際、小規模製造企業は米国製造業者の98%を占め、480万人を雇用している。
こうした企業の多くは、ほとんど地図にも載っていない存在でもある。
筆者は20年にわたり、ある単純な経験的知見に基づくオープンイノベーション・ネットワークを運営してきた。難しい問題を十分に広く発信すれば、その答えはたいてい、問題を抱える側が探していなかった場所からやって来る、という知見である。近年、国内製造能力を支援し、資金を提供するための政策が実施されてきたが、その資金はいずれも「発見」のレイヤーを構築していない。資本は見えるものに流れる。そして既存の製造基盤の多くは見えていない。
ビジネスリーダーにとって、この発見のギャップは抽象的な問題ではない。サプライチェーンの多様化、新たな国内パートナーの認定、製造業の買収案件の評価に現在取り組んでいる経営幹部は皆、この壁に直面している可能性が高い。筆者は、能力は国内に存在していると考えている。しかし、それを見つけ、評価するためのインフラが存在しない。とはいえ、リーダーがこのギャップを埋めるために取れる手段はある。
侵食される基盤
発見のギャップの問題に追い打ちをかけているのが、産業基盤の侵食である。クリーブランド連邦準備銀行は2025年10月、米国全体の雇用が6800万人増えた一方で、米製造業の雇用は1979年から2025年の間に660万人減少したと報告した。全米防衛産業協会(NDIA)の「Vital Signs 2025」報告書によると、防衛産業基盤に参加する小規模企業の数は過去10年で40%以上減少した。レーガン研究所が2026年3月に発表した国家安全保障イノベーション基盤に関する評価報告は、米国は正しい方向に進んでいるものの、「構造的な脆弱性は残っている」と結論づけた。
さらに重なるのが、世代交代である。2022年時点で、今後10年の間に所有権が移行する可能性のある「家族経営の製造企業は12万5000社、雇用者数は260万人」と推計されていた。5月に発表されたチェースの調査では、「小規模事業主の40%が今後10年以内に引退する予定」としている一方、「所有権移行に十分備えている」と回答したのはわずか8%だった。
資本が企業を見つけられないとき、標準的な帰結は、信頼できる運営者への承継ではない。多くの場合、家族による廃業、困窮下での地元への売却、あるいは生産能力ではなく特許や顧客リストに関心を持つ買収者によるロールアップである。
製造業に必要なもの
筆者が産業基盤に必要だと考えているのは、可視化が意味を持つようになる、資本、需要、労働力の流れと統合されたエコシステムである。データベースやサプライヤー登録制度はいくつも存在するが、それらはエコシステムではない。そもそも、そのように設計されていない。
筆者は、データベースが解決するようには設計されていなかった調整のギャップに取り組もうとしている企業がいくつかあることに気づいている。そのいずれかが成功するかどうかは別問題である。いずれにせよ、分析上の区別は重要だ。製造基盤をマッピングすることと、エコシステムをつくることは異なる問題である。前者が生み出すのはディレクトリであり、後者が生み出すのは機能する市場である。
この区別が重要な理由は、筆者が数千件のイノベーション課題で目の当たりにしてきたことにある。問題が広く発信されると、勝利する解決者はしばしば、問題を抱える側が存在すら知らなかった人物であり、隣接分野や一見無関係に見える領域で働いていることが多い。製薬会社が化学の課題を提示すると、その解決策が材料科学者からもたらされることがある。防衛大手がセンサーの問題を提示すると、その答えが民生用電子機器の分野の人物から出てくることもある。
学術文献はこれを体系的に記録しており、最も明確なのが、ラース・ボー・イェッペセンとカリム・ラカニによるOrganization Science掲載の2010年の研究である。この研究は、166件の研究開発課題と1万2000人を超える科学者を対象に、解決者の分野と問題の分野の距離が大きいほど、勝利する解決策が生まれる確率が高まることを示した。発見が、元請け企業がすでに知っているサプライヤーにしか及ばないのであれば、そのシステムは最も見つける価値のある能力を見逃す可能性が高い。
そのコストは累積しかねない。多くの企業は、調達、ソーシング、サプライチェーンリスクをエージェント型システムを軸に再編している。そうしたシステムには、現実世界の能力に関する機械可読な入力が必要である。筆者の見方では、米国の製造基盤は人間に見えていないだけではない。システムにも見えていない。そして、エコシステムを伴わない能力は見せかけにすぎない。
ビジネスリーダーが今後できること
ビジネスリーダーにとって実務的な一手は、サプライヤー発見を調達プロジェクトとして扱うのをやめ、戦略インフラとして扱い始めることだ。つまり、すでに目に入っているサプライヤーだけでなく、既存ネットワークの外にいる製造業者を見つけ、認定する能力に投資するということである。
それは、今後10年でおよそ12万5000社の家族経営製造業者の所有権が移るという承継の波を、受動的なリスクではなく、ソーシングとM&Aの機会として捉えることを意味する。そして、基盤を解読しようとする新たなソリューションに真剣に関与することを意味する。
より難しい変化は社内にある。多くの調達・ソーシング部門は今なお、すでに知っているサプライヤーを中心に組織されており、能力に関するデータは構造化されていないPDFや個人の関係性の中に置かれている。企業は、自社のサプライヤー能力データを構造化し、機械可読で監査可能なものにすることで、先手を打つことができる。それこそが、より広範な発見レイヤーが最終的にもたらすものに接続するための前提条件である。



