暗号資産規制法案「クラリティ法案」の新たな草案では、公職者や政府職員による暗号資産の発行やスポンサー行為が2029年まで一時的に禁止される見通しとなった。しかし、この法案は依然として民主党からの強い反対に直面している。
公職者本人と配偶者、従業員によるデジタル資産の発行を禁止
複数のメディアが入手した600ページを超えるクラリティ法案の最新草案では、公職者による暗号資産の取り扱いに新たな倫理ルールを課している。具体的には、公職者本人に加え、その配偶者、政府職員が在任中に対価を得て「デジタル資産」を発行したりスポンサーになったりすることを禁止した。
また、公職者が発行またはスポンサーを務めるデジタル資産企業の上場も禁止され、政治家が就任前から発行・支援していた暗号資産の直接持分を任期中にブラインド・トラスト(白紙委任信託)に預託するか処分することも義務付けている。ブラインドトラストは、資産の運用を独立した受託者に委ね、本人が中身を把握できないようにする仕組みだ。
(編注:「クラリティ法案」の草案は、第三者が発行したデジタル資産を投資として持っている状態、「保有」については禁止していない。公職者は在任中もデジタル資産に投資できる。ただしこれは、従来どおりの資産開示義務と利益相反規則の対象になる。白紙委任信託または売却が求められるのは、発行や運営の側に立って継続的に収益を受け取る「直接持分」のほうである)
これにより、トランプが自身の暗号資産ビジネスから得る利益が脅かされる可能性がある。トランプは2025年、同ビジネスから推定14億ドル(約2300億円)の利益を得ていた。
ホワイトハウスは以前、共和党が作成したこの倫理規定が含まれていてもトランプは法案に署名する意向だとしており、コインデスクに宛てたコメントでは、これを「歴史上最も包括的かつ広範な倫理規定だ」と称していた。
司法省への執行権限集中に民主党が反発
しかし同法案は、倫理ルールの取り締まり権限を連邦司法長官に付与する一方で、各州の司法長官による取り締まりをを禁じている。連邦議会の民主党議員らは司法省(DOJ)に取り締まり権限を委ねることを支持しない姿勢を示している。
また、この倫理規定は2029年に失効する予定となっており、公職者への禁止と処分義務に関する制限は今後3年未満の間に解除される。
今年初めに同法案の審議推進に賛成票を投じていた民主党議員の1人、メリーランド州選出のアンジェラ・オルソブルックス上院議員は、この修正案を支持しないと記者団に明かした。
米国時間7月22日に米ニュースメディアのセマフォーが主催したカンファレンスで発言したオルソブルックスは、取り締まりの権限を司法省に集中させることは「破天荒で不真面目であり、正気の沙汰ではない」と述べ、「これまで、司法省には法を執行する能力も意思も欠けていることを見てきた。したがって、今回の暗号資産関連の倫理規定の執行を同省だけに全面的に委ねることは絶対に不可能だ」と付け加えた。トランプが任命した司法長官が率いる司法省のみに、(トランプの)暗号資産の利益を制限する規定の執行を任せるのは、実効性がないという批判だ。オルソブルックスは代わりに、各州の司法長官に取り締まり権限を与えることを提案している。
8月休会までに60票を確保できるか
連邦議会が8月の休会に入る前に上院がクラリティ法案の採決を進めるのに残された日数はわずか数日しかない。これまでのところ同法案への支持を公式に表明した民主党議員はおらず、本会議での審議推進に必要な60票の獲得は困難な情勢となっている。



