映画

2026.07.23 09:30

パラマウントによる約17.9兆円のワーナー買収、EUが承認──米国では独禁法違反の懸念

paulomgodoy - stock.adobe.com

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欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は現地時間7月22日、パラマウント・スカイダンスによるワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)の買収を承認した。買収額は1100億ドル(約17兆9300億円。1ドル=163円換算)規模に上る。これにより、取引完了に向けた規制上の大きな障壁が1つ取り除かれた。ただし米国内では、この買収が独占禁止法に違反するとの懸念から、依然として反発が続いている。

EU、UIP持ち分売却などを条件に買収を承認

欧州委員会は声明で、パラマウントが競争上の懸念に「完全に対処する」譲歩案に同意したことを受け、同社によるワーナー・ブラザース買収を承認したと発表した。

欧州委員会によると、欧州における映画配給の合弁会社ユナイテッド・インターナショナル・ピクチャーズ(UIP)の保有株式を手放し、今後10年間は欧州でユニバーサル・ピクチャーズとの映画配給契約を結ばないことに同意した。UIPはパラマウントとユニバーサルが共同で運営してきた国際的な映画配給の合弁会社であり、両社の配給部門が一体で残ることへの競争上の懸念が指摘されていた。

英国の審査と米国の差し止め訴訟が買収完了を左右

欧州での承認は、この取引の完了に向けた規制上の節目となる。もっとも、今後は米国と英国の規制当局による承認が必要となる。このうち英国の競争・市場庁(CMA)は、8月7日までに予備的な独占禁止法調査を終えるとしている。

一方の米国では、司法手続きが買収の行方を左右しつつある。アラセリ・マルティネス=オルギン判事は、複数の州がこの買収が独占禁止法に違反するかどうかについて「重大な疑問」を提起したと判断し、米国時間7月20日にパラマウントの合併を一時差し止めた。判事は8月3日に審理を予定している。マルティネス=オルギン判事は、取引をさらに停止させる、より長期的な命令を出す可能性があり、訴訟が進む間、合併が無期限に保留される可能性もある。

9月末までに完了しなければ1日約11億4100万円を負担

買収の遅延はパラマウントに巨額の負担をもたらす。同社は、買収が9月30日までに完了しなかった場合、1日あたり700万ドル(約11億4100万円)を支払うことに同意しており、これは四半期あたり約6億5000万ドル(約1059億円)に相当する。規制上の問題で買収が破談となった場合には、70億ドル(約1.14兆円)の解約金も支払うことになる。

契約者や脚本家組合、米国12州が提訴

パラマウントによるWBD買収は、ネットフリックスがこの老舗メディア企業WBDへの買収提案を取り下げた後、2月に発表された。

この買収計画はこれまでにも複数の方面から精査を受けてきた。パラマウントの動画配信サービス『パラマウント+(Paramount+)』の加入者は、取引によってサブスクリプション料金が上昇する可能性があるとして提訴した。全米脚本家組合(WGA)も、業界内の競争が低下し、映画・テレビの脚本家に損害を与える可能性があるとして、取引の差し止めを求めて提訴している。

マルティネス=オルギン判事による今回の判断は、米国の12州が起こした訴訟を後押しする内容とみられる。これらの州は、買収によって「映画の劇場公開の衰退」が招かれかねないと主張していた。一方、米司法省は6月にこの買収を承認し、取引は「競争や米国の消費者に害を及ぼす可能性は低い」と結論づけていた。

forbes.com 原文

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