Kimi K3の公開で中国AI株が急落
Hugging Faceがインシデント報告書を公表したのと同じ日に、中国のスタートアップMoonshot AIがKimi K3モデルを公開した。
Moonshotは、Kimi K3が世界最大級のオープンAIモデルだと主張し、Anthropic(アンソロピック)やOpenAIが提供する主要システムへの直接の対抗馬として位置づけている。開発者はモデルをダウンロードして自らの環境で動かし、改変できる。基盤となるシステムを非公開とするプロプライエタリ型のChatGPTやClaude(クロード)とは異なる。
Kimi K3の公開を受け、Moonshotの中国の競合であるZhipuAIとMiniMaxの株価は、香港市場でそれぞれ28.4%、15.6%急落した。
論争が途切れないOpenAI
OpenAIは災難続きだ。同社は過去1年の大半、急速な技術的進歩を重ねながら、絶え間なく押し寄せる論争、法的紛争、世間の厳しい視線にも対処してきた。
創設時の共同創業者で初期の資金提供者でもあるイーロン・マスクとは、企業形態や経営の方向性をめぐる注目度の高い訴訟を続けている。作家、出版社、報道機関も、著作権で保護された作品を許可なくAIモデルの訓練に使ったとしてOpenAIを提訴しており、同社はこれらの訴訟にも対応している。
複数の上級幹部が退社し、人材の流出は会社の安定性に対する疑問を強めた。OpenAIは今月、最新製品のGPT-5.6を公開したが、モデルが示す強力な能力と、それに伴うセキュリティーリスクを懸念する声も上がった。ロイターによると、米政府はサイバー攻撃や軍事目的への悪用を含む国家安全保障上のリスクを評価するため、GPT-5.6への事前アクセスを求めた。OpenAIはこの要請を受け、一般向けの本格提供を延期した。
OpenAIが当初アクセスを認めたのは、審査を通過した限られた提携先だけだった。この異例の提供方法は、AIの安全性だけでなく、フロンティアAIへのアクセスを政府がどこまで統制すべきかをめぐる議論も呼んだ。
OpenAIのIPOと利益相反
次に注目されるのは新規株式公開(IPO)である。OpenAIは上場に向けた準備を進めており、早ければ2026年内にもIPOを実施する可能性がある。OpenAIは7月21日、Nubank創業者のダビド・ベレスと、バンク・オブ・ニューヨーク・メロンCEOのロビン・ヴィンスを取締役に迎えると発表した。
経営陣がIPO前に対処すべき問題には、CEOサム・アルトマンによるOpenAI以外への投資も含まれる。これらの投資は最近、米下院監視・政府改革委員会による精査の対象となった。ビリオネアであるアルトマンは、資産の大部分をOpenAI以外のスタートアップへの投資として保有している。議員らは、これらの投資が潜在的な利益相反を生む可能性を懸念している。
フォーブスによる推定資産
OpenAIへの金銭的持ち分をほとんど持たないアルトマンの純資産は、34億ドル(約5542億円)と推定される。
OpenAI社長のグレッグ・ブロックマンは5月、これまで公表していなかったOpenAIの持ち分について、その価値は200億ドル(約3兆2600億円)を超え、300億ドル(約4兆8900億円)に近いと宣誓証言した。


