新規事業

2026.07.24 11:45

成長率926%! 厄介ものだった焼酎粕を“宝の山”に変えた「いいちこ」の出島組織

研究所の前にて。渡邉さん(右)と新谷さん(写真=三和酒類)

軸を持って、はみ出して

━━では最後に、全国の出島組織の皆さん、そしてこれからはみ出そうとしている人たちへ、メッセージをいただけますか。

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渡邉:自分の考える軸をしっかり持って、社会課題を解決するために、はみ出してほしいですね。

━━「社会課題の解決」が大事だと。

渡邉:いまの時代、それがないと新しい挑戦は成功しないと思うんです。単に「何かが嫌だ」という飛び出し方ではなくて、世の中の人を幸せにする、社会課題を解決するという思いがベースにあって飛び出すこと。

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うちの食品事業も「世界中の人々の『健康に対して一歩を踏み出そうとする気持ち』をサポートします」を看板にして部署に掲げています。単にモノを売っているんじゃない。「いいちこ」だって、お酒を売っているようで、実際は晩酌の穏やかな時間を売っている。そういう軸がないと、飛び出したときに、うまくいかないでしょうね。

食品事業部に掲げられた看板
食品事業部に掲げられた看板(写真=三和酒類)

食品事業部に掲げられた看板

新谷:もし今、出島組織で苦戦されている方がいるのであれば、軸に立ちかえって、売上だけじゃないところで一歩ずつ進んでいる実感を掴みながら、自分の炎が消えないように前進してほしいです。

━━これから食品事業がさらい成長し、バウムクーヘンのような新しい本島になっていったとき、また次の出島は生まれると思いますか。

渡邉:生まれると思いますね。この会社の遺伝子を考えたら。そのためには、研究所をいままで以上に大切にすることです。次の種は、そこからしか生まれない。ワインだって20年30年かけていまがあって、出島として一本立ちしつつある。GABAも研究から生まれた。営業や販促も、もちろん大切ですが、どんな会社でも、研究部門こそが会社の将来なんだと思いますよ。

【取材を終えて】

三和酒類にお伺いした際、応接室に「和」と書かれた書が掲げてあった。「いい字ですね」と感想を伝えると、「新しいことをしないと『和』を保つことはできないんです」という返事が返ってきた。

「和」の書(筆者撮影)
「和」の書(写真=倉成英俊)

 もともと別々の造り酒屋だった4社がひとつになった三和酒類。その"和"の秘訣が「新しいことを一緒にやる」ことにあるという発想は新鮮だった。だが言われてみると、確かにそうだと思う。

三和酒類の歴史を伺うと、飛び出すことや、新しいことにチャレンジすることの難しさを実感する。新しいことは、すぐに結果が出るとは限らない。うまくいかないことの方が多いだろう。

同時に希望もある。失敗や偶然から道が開けてくることもあるし、10年信じてやり続けた先に、新しい「島」が見えてくることもある。渡邉さんと新谷さんは、そのことを教えてくれた。うまくいかないときにはいいちこのソーダ割りを飲んで一息ついて、長い目で未来を見据え、軌道修正しながら挑戦を続けていけばいい。

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