PR(パブリックリレーションズ)業界は、AIの導入に向けて急速に動いている。しかし、多くの組織は、AIを疑い、検証し、悪用されているケースを認識する方法を従業員に教えることに関しては、はるかに遅いペースでしか動いていない。若いプロフェッショナルたちは、そのギャップを明確に見抜いている。
筆者のエージェンシーが加盟しているワールドコム・パブリックリレーションズ・グループ(Worldcom Public Relations Group)は、15カ国以上の138人の若いPRプロフェッショナルを対象に、誤情報、信頼、AI生成コンテンツ、そしてコミュニケーションにおける信頼性の未来について調査を実施した。この調査から明らかになったのは、合成メディア(人工的に生成されたメディア)に圧倒されている世代でも、テクノロジーを無条件に信頼している世代でもない姿だった。多くの点で、その真逆だった。これらの若いプロフェッショナルたちは、多くのリーダーたちが考えているよりも、改ざんされたコンテンツを取り巻くリスクに対して懐疑的で、慎重であり、より強い警戒感を持っているようだ。
筆者がよく目にするZ世代に対する典型的なステレオタイプは、デジタル文化に浸って育ったため、テクノロジーに過度に依存し、ネットで目にするものを過剰に信じ込んでいるというものだ。しかし、回答者の多くは、オンライン上の情報に対して、ほぼ自動的に疑いの目を向けていると述べている。彼らはコンテンツを共有する前に情報源をクロスリファレンス(相互参照)する。コメント欄を監視し、情報に異議が唱えられたり訂正されたりしていないかを確認する。感情的に操作されていると感じるものや、怒りを煽るように設計されていると感じるものに遭遇したときは、手を止める。数人の回答者は、AIが生成した画像やディープフェイク(高度な合成技術を用いた偽動画)、改ざんされた音声の兆候を識別する方法を独学で身につけたと述べている。
こうした行動は、テクノロジーへの盲信から生まれているのではない。誤情報が日常生活の当たり前の一部となっている環境で育ったからこそ、生じているのだ。この世代にとって、ネットで目にするものを疑うことは、時折行うことではなく、本能的なものだ。彼らは、正確さよりも人々の関心を引くこと(アテンション)が重視されがちなオンラインの世界を、何年も渡り歩いてきた。Z世代は、アルゴリズムによるフィード、拡散される誤情報、そして改ざんされたコンテンツが常態化しているデジタル環境で育った。多くの若者はそれに適応し、世間で描かれがちな姿よりもはるかに鋭い識別眼を持つ情報消費者になっている。
AIへの信頼は組織の責任である
この調査でより懸念すべき結果となったのは、これらの若いプロフェッショナルたちがどのように情報を消費しているかではなく、周囲の組織から受け取っていると感じる制度的な支援がいかに少ないかという点だった。
組織が誤情報、オンライン上での操作、またはAIの悪用を検知するための公式なガイダンスやトレーニングを提供しているかという質問に対し、回答は重大なギャップを明らかにした。社内のAIタスクフォースやトレーニングの取り組みについて語る者もいたが、その多くは倫理や検証、あるいは信頼性ではなく、効率化や自動化、コンテンツ生成にほぼ完全に焦点を当てていると述べた。公式なトレーニングは一切存在しないと率直に述べた回答者も複数いた。また、誤情報や改ざんされたコンテンツを識別する責任は大部分が個人に委ねられており、自分たちで対処せざるを得ないという意見もあった。
この不均衡は重大な問題である。コミュニケーション業界全体で、組織はワークフロー、コンテンツ開発、リサーチ、クライアントサービスへのAI統合を競い合っている。多くの場合、議論の中心はスピード、生産性、そして競争優位性にある。これらも重要な議論ではあるが、不十分だ。もし業界が、プロフェッショナルたちにAIの使い方を教えることに巨額の投資を行い、同時にそれを批判的に評価する方法を教えることに同等の投資を行わなければ、エージェンシーは長期的な信頼性の問題を自ら作り出すリスクを負うことになり、それは時間の経過とともに対処が難しくなる一方だろう。
エージェンシーはいかにAIへの信頼を高められるか
また、この調査では、若いプロフェッショナルたちが現在の業界に最も必要だと考えていることについて、迷いがないことも明らかになった。PRプロフェッショナルやエージェンシーに対する信頼を高めるものは何であるかという質問に対し、市場や地域を問わず、驚くほど一貫した回答が得られた。彼らが挙げたのは、透明性、説明責任、誤情報の積極的な修正、そしてAI支援によるコンテンツが使用されている場合の明確な開示だった。
より顕著な調査結果の一つは、AIと誤情報の時代においてPR業界が最も優先すべきことは何かという自由記述式の質問から得られた。米国、欧州、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの回答者全体で、何に誘導されることもなく、繰り返し現れた言葉が一つあった。「透明性」である。
若いプロフェッショナルたちは、業界にAIを拒絶することを求めているわけではない。ほとんどの人がその価値を理解し、自らこれらのツールを使用している。彼らが求めているのは、テクノロジーがコミュニケーション業務により深く組み込まれていく中で、より明確な倫理基準と、信頼性へのより強力なコミットメントであるようだ。合成コンテンツがより簡単に作成でき、かつ検知が難しくなっているまさにその瞬間に、信頼がいかに壊れやすくなっているかを彼らは理解している。
過去30年間にわたり、コミュニケーション業界は巨大な技術的変化に適応してきた。インターネットの台頭は情報の流れ方を一変させた。ソーシャルメディアは、組織、ジャーナリスト、そしてオーディエンスの関係を根本から変えた。24時間体制のニュースサイクルはコミュニケーションのペースを加速させ、対応の猶予期間を劇的に短縮した。そのたびに、業界の本能的な反応はほぼ同じだった。新しいツールをできるだけ早く使う方法を学び、信頼性への広範な影響については後で考えるというものだ。我々はAIでもこのパターンを繰り返しているように見える。
今この瞬間が過去と異なるのは、多くの若いプロフェッショナルたちがすでにリアルタイムでそのリスクを認識している点だ。今回の調査を取り巻く議論には、組織内のリーダーたちをしばしば上回るほどの高い意識と警戒感が反映されていた。彼らの多くは、AIリテラシーが単にコンテンツをより効率的に生成する方法を学ぶことだけを意味するのではないと、すでに理解している。それは同時に、これらのシステムがどのように情報を歪め、誤情報を増幅させ、公的な信頼を損ない、真実と改ざんの境界線を曖昧にしかねないかを理解することも意味している。
もし組織が責任を持ってこの瞬間に立ち向かう姿勢を示すなら、その高い意識は最終的に、業界の最大の強みの一つになるかもしれない。
未来に向けて
次世代のコミュニケーション・プロフェッショナルたちは、これまでの世代がキャリアの同じ段階で持っていたものよりも、信頼という概念について複雑な理解を持って社会に出ようとしている。彼らが引き継ごうとしているのは、信頼性が絶えず脅かされている環境だ。さらにその環境では、オーディエンスが何が本物かをますます疑うようになり、組織は高まる一般社会の懐疑論に直面している。多くの若者は、すでにその現実に備えているようだ。より大きな問題は、業界自体が彼らのペースに追いつくほど迅速に動いているかどうかである。
この調査は、若いプロフェッショナルたちが何が危機に瀕しているかを理解していることを示唆している。コミュニケーション業界は今、AIを単なる生産性向上ツールとして扱うのか、それとも今後の信頼維持に必要な倫理、検証、そして透明性に対しても同等に真剣な投資を行うのかを決断しなければならない。



