戦国の世に思いを馳せながらの山登り
登山の魅力の1つに眺望がある。実は戦国時代における山城の魅力も「眺望」であった。松永久秀が主君をもてなしに使ったと前述したが、それは二の次だ。
滝山城では山頂近くの城郭から下界がはっきりと見渡せる。ちょうど南東方向が開けているので、京都から大宰府に至る「西国街道」がはっきり見える。
仮に大軍がこの街道を通過するのを確認できれば、頃合いを見計らって自軍を南下させる。すると敵軍を真横から突ける位置関係となる。
しかも、この城は下界から見ると完全にカモフラージュされているため、現在でもかつての街道沿いの市街地から見上げても、どの山が「滝山城」なのか皆目見当がつかない。そのため当時はかなり不気味な軍事拠点だったに違いない。
筆者もこの登山道を歩いたが、説明がなければ、誰も「山城」の跡だと気づかないと感じた。はっきり言ってもったいない気もする。
ところが、歩いていたら欧米からの観光客とおぼしき男性に遭遇。そのとき私を案内してくれた神戸市文化スポーツ局文化財課長の川上厚志は「来るたびに欧米系の人に会う。一体どうやって調べてやってくるのか」とつぶやいていた。
そんな状況もあり、神戸市では滝山城に至る登山道をまずは歩きやすいように整えて、さらに案内板も新たに設置する計画だ。
自然を感じながら健康のために登山するだけでなく、450年前の戦国の世に思いを馳せながら山登りを楽しむのは、いつもとはひと味違った体験になるのではないだろうか。
連載:地方発イノベーションの秘訣
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