欧州

2026.07.22 17:00

米国がセルビアへの関与を強める戦略的理由 ロシアは「地政学的テコ」を失うおそれ

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気づいていない人もいるかもしれないが、米国の西バルカン政策は先週、重要な前進を遂げた。セルビアのマルコ・ジューリッチ外相と米国のマルコ・ルビオ国務長官は7月17日、両国間の戦略対話を正式に開始した。この取り組みは1年以上前から準備されてきたもので、詳細はまだほとんど明らかになっていない。それでも、これはドナルド・トランプ米政権にとって大きな意味を持つものになる可能性がある。その理由は少なくとも4つある。

第1はエネルギー安全保障である。トランプ政権はかねて、西バルカン地域でのエネルギー供給源の多様化を優先課題のひとつにしてきた。これは妥当な判断だ。昨年秋にアテネで開催された大西洋横断エネルギー協力パートナーシップ閣僚会合を基盤として、米国はブルガリアやギリシャ、モルドバ、ルーマニア、ウクライナとともに「縦断ガス回廊(Vertical Gas Corridor)」の整備を進めている。この回廊は、米国産の液化天然ガス(LNG)とアゼルバイジャン産の天然ガスを中・東欧とバルカン地域へ南北に輸送するルートであり、欧州に依然として残るロシア産エネルギーへの依存を低減することを目的としている。

この計画でセルビアは重要な役割を担う。というのも、セルビアはこのルート上に位置するうえ、主要なエネルギー輸送拠点となり得るインフラをすでに備えているからだ。セルビアはさらに、ルーマニア、北マケドニアとそれぞれ結ぶガス・インターコネクター(接続パイプライン)の建設も進めており、完成すればロシア以外の供給源からの天然ガス輸入を拡大できると見込まれる。

これが大きな動きなのは間違いない。なぜかと言えば、現在、セルビアの国営石油会社NISの株式の支配的持ち分を保有しているのは、ロシア国有エネルギー大手のガスプロムだからだ。ロシアは近年、NISを地政学的なツールとして利用し、セルビア国内でさまざまな悪意ある影響力工作を資金面で支えてきた。抗議活動をあおったり、反米プロパガンダを拡散したりすることもその一例だ。

トランプ政権は昨年10月、ロシアのエネルギー部門を標的とした措置の一環でNISに制裁を科した。この圧力は一定の成果を生み、今年1月にはハンガリーのエネルギー企業MOLが介入し、ロシア側が保有する株式を取得する契約を結んだ。ただし、この取引はその後遅滞している。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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