リーダーシップ

2026.07.22 11:58

ボーイングの危機が浮き彫りにする、リーダーシップの「判断」の本質

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ボーイングの737 MAXを巡る危機は、能力の欠如によるものではなく、方向性の誤りがもたらしたものだった。これは、組織が検証するのをやめてしまった目標に対して、見事なまでに一貫した行動をとるようになったときに起こる現象だ。

航空機が墜落するのは、一つの要因が失敗するからではない。心理学者のジェームズ・リーズンが提唱し、現在はSKYbraryやICAO(国際民間航空機関)の安全教材を通じて広く教えられている「スイスチーズ・モデル」では、すべての安全システムを、いくつかの穴が開いたスライスチーズに見立てている。そして、多くのスライスの穴が同時に一列に並んでしまったときに初めて、災害が発生する。

整備の先送り、根本的な解決ではなく応急処置で済まされた設計上の欠陥、記録されながらも無視された警告。それぞれ単独であれば致命傷にはならないかもしれないが、これらが重なり合うことでシステム全体を崩壊へと導く。

これは組織にも当てはまる。そして、最近のビジネス史において、これが最も明確に現れたのがボーイングの事例だ。

CNNビジネスは2020年末、ボーイング737 MAXの運航停止処分が、史上最大規模の損失を出した企業不祥事の一つに数えられると報じた。開示された直接的なコストだけでも少なくとも207億ドル(約3兆3700億円)に達し、アナリストの予測ではこの金額は250億ドル(約4兆700億円)を超えるとされた。

しかし、本当の悲劇は、5カ月の間に起きた2件の墜落事故で346人もの命が失われたことだ。すべての調査官は「何が起きたのか」を問う。だが、リーダーにとってより有益な問いは、「何年も前に下され、一度も再考されることのなかったどの決定が、これほど多くの防護壁を静かに取り除いてしまったのか」ということだ。

能力ではなく、方向性の問題

数十年にわたりCEOへのインタビューを行い、MBAで教えてきた中で、私は最も深刻なリーダーシップの失敗が、知性やスキルの欠如によって引き起こされることは極めて稀であると確信するようになった。関係者はほぼ例外なく有能であり、時には極めて優秀でさえある。問題は、リーダーが何を見ているかだけでなく、彼らの組織が何を追求するように構築されているか、とりわけプレッシャーがかかったときに何を最優先するかにあるのだ。

組織とはインセンティブ、測定指標、そして習慣のシステムであり、そのシステムは常に何らかの方向を向いている。時間が経つにつれ、システムはそれが追求するために作られた目的を果たすのが著しく得意になる。危険なのは、そのようなシステムが崩壊することではない。むしろその逆だ。システムが設計通り、極めて整然と機能し続ける一方で、それが果たすべき目標が、誰も意図して選ばなかったような狭いものへと、いつの間にかすり替わってしまうことにある。

私の同僚であるジョー・ホルトは、2020年2月のフォーブスの記事でボーイングの事例について論じ、同社の企業文化の変化が1997年の合併に端を発していることを突き止めた。彼は経済学者ジョン・ケイの研究『Obliquity(迂回効果)』を引用し、最も利益を上げている企業が、必ずしも最も利益を追求している企業ではないことを示した。その後、同社が予期していなかった第2の失敗の連鎖を通じて、さらに明らかになったのは、問題は単なる文化の問題にとどまらず、まさに判断力の問題であったということだ。

以前のフォーブスの記事で、私はユング心理学とリーダーシップを専門とする哲学者エデン・エリオット・ロコージュの知見を引用し、リーダーシップの盲点について検証した。今回、危険性はさらに深いレベルへと移行する。つまり、私たちが「見るもの」から「構築するもの」へ、そして「認識」から「判断」へと移行するのだ。

「ユングは思考と感情を、判断における2つの合理的な方法として説明しました。これは、彼が1世紀前に著書『心理学的タイプ』で提示した区分です。思考は物事がどのように機能するか、つまり命題の一貫性と論理を評価します。一方で感情は価値、すなわち何かが善か悪か、重要か二次的か、認めるべきか退けるべきかを評価します。これを組織に当てはめると、この区分は2つの問いに分かれます。システムがどのように機能するか、そして組織が本当に重要だと決定したものは何か、という問いです」とロコージュは語る。

ミッションステートメントに掲げられた価値観は、それが土台としているシステムの機構を乗り越えられるようになるまでは、実効性を持たない。ボーイングの危機は、それができないときに何が起きるかを示す事例である。

ボーイングにおける3つの転換点

20世紀の大半において、ボーイングのアイデンティティは技術者としての誇りに支えられていた。「ボーイングでなければ乗らない(If it ain't Boeing, I ain't going)」というのは単なるスローガンではなく、乗客に対する固い約束だった。

1997年、ボーイングはマクドネル・ダグラスと合併した。外部のアナリストや議会の調査官は後に、技術的な判断が次第に財務指標に取って代わられ、徐々に方向性が転換していった様子を説明している。

マクドネル・ダグラスからボーイングの経営陣に加わったハリー・ストーンシファーは、この変化について異例とも言えるほど率直に語っていた。アトランティック紙の1月の記事には彼の次のような言葉が紹介されている。「私がボーイングの文化を変えたと言われるが、それこそが私の意図だった。偉大なエンジニアリング会社としてではなく、ビジネスとして運営されるようにするためだ。人々が企業に投資するのは、金を稼ぎたいからだ」

この発言は、ストーンシファーがその後に起きた事態を直接引き起こしたことを証明するものではない。しかし、これが示しているのは、会社が自分たちの存在意義をどう捉えるかという点における変化である。

2011年までに、その組織改編は試練を迎えた。エアバスが低燃費のA320neoを発表し、米下院運輸インフラ委員会が後に2020年9月の最終報告書で「凄まじい財務的プレッシャー」と呼んだ状況下で、ボーイングはより迅速で安価な道を選択した。新型機をゼロから設計するのではなく、既存の737のエンジンを換装する道だ。大型化したエンジンによって機体の操縦特性が変化したため、それを補正するためにMCASというソフトウェアシステムが追加された。

ここに、組織の実質的な目的が露呈した。MCASについて広く開示すれば、追加のパイロット訓練の必要性が高まり、コストが発生して、「MAXは従来の737とまったく同じように操縦できる」というボーイングの商業上の約束が覆る恐れがあった。下院委員会とNTSB(国家運輸安全委員会)の調査はいずれも、MCASがパイロット向けマニュアルに記載されていなかったことを突き止めた。ここでの対立は、抽象的な意味での「安全性対利益」ではなかった。パイロットの知識が、それを隠しておきたいあらゆる動機を持つ商業的論理を覆すだけの権限を持っていたかどうか、という点だったのだ。

2018年までに、警告は工場の内部から発せられた。ボーイングのレントン工場のシニアマネージャーだったエド・ピアソンは、本人の言葉を借りれば「ボーイングが品質や安全性よりも生産速度を優先していることに深刻な懸念を抱く」ようになった。彼は部品の遅延、疲労、不規則な作業手順など、緊迫した工場の状況を説明した。

彼はこの問題を工場の管理職に提起し、その後、CEOと取締役会に宛てて書簡を送った。

「私のどちらの報告に対しても、何の対策も講じられなかった」と、ピアソンは2019年12月に議会で証言した。

ピアソンは具体的な不具合を予測していたわけではなく、彼が懸念していた生産上の問題は、MCASの設計上の問題とは異なっていた。重要なのは、彼の警告に対して何が起きたか、というその構図である。

2018年10月にライオン・エア610便が墜落し、2019年3月にエチオピア航空302便が墜落した。

「ボーイングに情報が不足していたわけではありません」とロコージュは言う。「同社はピアソンのシグナルを受け取りながら、それをスケジュールよりも低い優先順位に位置づけたのです。ここに真の失敗があります。それは聞くことの拒絶ではなく、何が重要であるかをすでに決定してしまっており、それに反するあらゆる警告を単なる摩擦(障害)としか捉えられなくなっていたシステムそのものに原因があったのです」

このパターンは、運航停止だけで終わらなかった。ボーイングがソフトウェアを修正し、訓練内容を改訂した後、2024年1月にはアラスカ航空の737 MAX 9のドアプラグ(目隠し板)が吹き飛ぶ事故が発生した。NTSBの調査により、4本のボルトが取り付けられておらず、その作業が記録されていなかったことが判明した。2024年に再び上院で証言したピアソンは、根本的な製造環境の問題が依然として存在していると主張した。ただし、これは彼の主張であり、公式な調査結果ではない。FAA(連邦航空局)のマイク・ウィテカー局長は2024年1月、ボーイングの「優先事項は生産にあり、安全性や品質にはなかった」と述べた。

その頃には、企業文化を改善するという約束自体が、歴史を繰り返すものとなっていた。

2020年、デーブ・カルフーンがCEOに就任し、ボーイングに対する「信頼と信用、そして信仰を回復する」と誓った。それから4年が経ち、ドアプラグの吹き飛び事故が起きた後、後任のケリー・オルトバーグが就任した。彼は上院商業委員会に対し、システムが安定するまで生産速度を落とすと、ほぼ同じことを語った。彼が組織の実際の価値観を変えたのか、それとも単に言葉だけに過ぎないのかは、何年にもわたる実践を経て初めて明らかになる問いだ。新しいリーダーが就任するたびに回復を誓わなければならない価値観は、まだ機能していない。それは未だに、単なる願望にすぎないのだ。

漂流に歯止めをかける

明るい兆しは、こうした流されつつある状況(ドリフト)を察知し、逆転させることができるという点だ。私が学生たちとよく議論するスタンリー・マクリスタル将軍は、イラクにおいて急襲作戦の実行には極めて長けているものの、より迅速で柔軟な敵に敗北しつつある部隊を指揮していた。著書『チーム・オブ・チームズ』(2015年)で彼が語っているように、管理と秘密保持のために設計された組織構造が、自らが直面している環境下での任務にもはや適していないことに彼は気づいた。そして、組織内での情報と意思決定の伝達方法を変更し、閉ざされていたものを開放した。この教訓は、彼のモデルがすべての企業に適合するという意味ではない。一人のリーダーが、自身の整然とした有能なシステムが誤った目標に向かっていることに気づき、大惨事が発生する前にそれを自ら遮断することを選んだ、という点にある。

その選択こそ、ボーイングが先送りし続けたものだった。システムは機能し、指標は向上した。しかし、目に見えない価値、すなわち技術者への信頼、声を上げた労働者の立場、出荷を停止させるほどの安全性への懸念の権限などは、スケジュールやマージン(利益幅)よりも測定が困難であったがゆえに、静かに損なわれていった。そして、それらが必要とされたときには、すでに失われていた。ボーイングが残した教訓は、システムが規律を欠くべきだということではない。十分に検証されていない方向に向かう規律は、破壊的なものになり得るということだ。

「私たちは組織を構築するだけでなく、繰り返し仕える目的を通じて、自分自身をも構築しているのです」とロコージュは言う。「組織も個人と同様に、何度も繰り返し下した選択そのものになる。そして、それらの選択がどこへ導くかによって、そのシステムは強固な土台にもなれば、牢獄にもなるのです」

リーダーシップの役割とは、自分たちが構築したシステムが、今もなお自分たちの抱く目的を果たしているかを問い続けることだ。真剣に向き合うべき問いは、組織が見落としているものに関するものではない。それらはもっとシンプルなものだ。しかし、最もシンプルな問いこそ、誠実に答えることが最も難しいのである。

  1. 私自身、あるいは自分の会社は、どのような価値観の上に築いたのか。
  2. 私が今築いているシステムは何か、そしてそれは自らと整合しているか。

そして、もし私のシステムが設計通りに機能し続けるなら、それは私をどこへ連れていくのか。

forbes.com 原文

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