「任天堂または販売店が各製品に価格を設定し、消費者はその価格を支払う価値があるかどうかを自分で判断しました。任天堂製品を購入した人は、合意して代金を支払った通りのもの、すなわち双方が合意した価格でのゲーム機、ゲームソフト、周辺機器を、正確に受け取っています」と任天堂の弁護団は記している。
還元を公に表明している企業はごくわずかだ。米小売大手コストコのロン・バクリスCEOは3月、関税還付金を「値下げと、より優れた価値」に振り向けると述べた。米物流大手FedExは、関税相当分を当初負担した荷主や消費者に払い戻すと表明した。米物流大手UPSも同様に、関税関連の請求分を顧客に返金するとしている。
還元しない方針を示しているフォードは、払い戻しを受ける権利があると主張する消費者から、ミシガン州で集団訴訟を起こされている(集団訴訟としての認定はまだ受けていない)。フォードは以前、一時金として13億ドル(約2120億円)の還付を受ける見込みだと明らかにしていた。
任天堂は昨年、トランプ大統領が180カ国以上を対象とする大規模な関税を発表した翌日に、Switch 2の周辺機器や旧モデルのSwitchの値上げを発表した。同社は今年に入っても「市場環境」を理由に世界的な値上げを実施しており、これは半導体の供給不足が広がるなかでソニーやマイクロソフトが行った同様の値上げに続く動きだった。一方、連邦最高裁がトランプ関税を違法と判断したことを受け、トランプ政権は約30万の輸入業者に総額1660億ドル(約27兆円)を還付する方針を示しており、任天堂をはじめ多くの企業が返還を求めて提訴する道が開かれた。
とはいえ、エコノミストの間では、関税還付の恩恵を受けるのは米国の輸入業者だけだという警告も出ている。UBSのチーフエコノミスト、ポール・ドノバンもその一人だ。同氏は今年、「還付を受けたからといって、急いで消費者向けの価格を引き下げる企業が現れるとは考えにくい」と記していた。


