現在、多くの企業が激しい逆風に直面している。
私はこれまでに厳しい不況のサイクルを何度も経験しており、人員削減(レイオフ)がもたらす影響が、単なる人件費の削減にとどまらないことをよく知っている。人員削減は恐怖を生み出し、信頼関係を損ない、健全だった組織文化をわずか数時間で「噂話の温床」へと変えてしまう。そして、すでに多くの研究で示されている通り、人員削減がもたらす長期的なコストは、極めて大きなものになり得る。
痛みを完全に取り除くことはできないが、尊厳を保ち、組織文化の崩壊を防ぐようなリーダーシップを執ることは可能だ。最も早く回復する企業は、たいてい真実を語り、明快な判断を下し、その後もきちんと向き合う企業である。
お仕着せの言い訳ではなく、率直に語ることから始める
人々は、不確実な状況よりも、悪いニュースのほうがまだ対処しやすいものである。人員削減を「慎重に進め、よくある過ちを避けること」が重要だ。
明確なコミュニケーションは、「なぜ行うのか」という理由の説明から始まる。それも、取り繕った建前ではなく、真の理由だ。会社は赤字なのか。大口顧客からの案件が一時停止したのか。買収後の組織統合を進めているのか。あるいは、投資先を別の製品ラインにシフトしているのか。
その上で、誰が対象となるのか、そして実施のスケジュールを伝える。具体的な情報が得られないと、社員は憶測でその空白を埋めようとする。パニックとはそのようにして広がるものだ。
人員削減の後、会社に残った社員がストレスや不安を感じ、モチベーションや信頼感を低下させやすいことは、研究でも明らかになっており、説明を曖昧にすることは、こうした悪影響をさらに増大させる原因となる。
人員削減の前にワークフローを再設計する
現実問題として、人員を削減しても、やるべき仕事がなくなるわけではない。先に人を減らして「対応は後から考える」というやり方をすれば、優秀な社員にしわ寄せがいき、組織の安定が最も必要な時期に燃え尽き症候群(バーンアウト)を増加させることになる。そのため、人員削減を発表する前に、地味ではあるが次の3つの作業を行ってほしい。
第一に、今後90日間のビジネスにおいて、本当に重要な業務を特定することだ。一部のプロジェクトは一時停止する必要がある。すべてが「最優先事項」であれば、何も優先していないのと同じだ。
第二に、成果物に対する責任者を明確にマッピングすることだ。具体的な納品物ごとに、担当者の名前を割り当てる。誰が何をするのかを明確にしなければ、業務の重複や連携ミスが生じ、社内に不満が渦巻くことになる。
第三に、解消可能なボトルネックに対処することだ。人員削減を実施する際は、プロセス改革(会議の削減、承認ルートの簡素化、効率的なツールの導入など)を並行して行う必要がある。そうしなければ、残されたチームに「常に110%の力で働き続けること」を強いることになってしまう。
削減は一度で終わらせる
私が目にしてきた中で最も組織を蝕むパターンは、人員削減を何度も繰り返すことだ。1回目の実施は痛みを伴う。2回目は信頼を破壊する。そして3回目ともなれば、「生き残った」社員たちはすでに履歴書を書き直している。リーダーシップに明確な計画があるとは、もう誰も信じていないからだ。
人員削減を避けて通れないのであれば、一度にすべてを実行すべきだ。最も苦しい決断を、一回の決定的なアクションとして下す。その上で、残された雇用を守り、回復に向けた安定した軌道を築くためにこの措置が必要であったことを、オープンに説明するのだ。社員が求めているのは、気休めの言葉ではない。信頼に値する計画である。
綿密な計画と、透明性の高いコミュニケーションが必要不可欠なのだ。
人員削減の実施後、リーダーは現場に立ち、向き合い続けなければならない
人員削減の後、残された社員たちは、罪悪感や感謝、不安、怒り、そして注意散漫など、複雑な感情を抱えることになる。
『ハーバード・ビジネス・レビュー』でも、人員削減の余波と残された社員を支援する必要性について取り上げられている。放置すれば、生産性やエンゲージメントが低下しかねないからだ。これこそがリーダーが真価を発揮すべき局面であり、自身の存在を示し、いつでも話しかけられる状態を維持しなければならない。一度の全体会議で済ませるのではなく、何週間にもわたって継続的に行う必要がある。
状況のアップデートを定期的に行い、質問を受け付ける時間をしっかりと確保する。過酷な業務負担という現実と、社員が抱える感情的な現実の双方を認めよう。そして、成果——新規顧客の獲得、パイプラインの安定、大型案件の納品——が出たときは、それを祝う。人員削減の後、社員は組織が今もなお実行力を備えているという実証(エビデンス)を求めている。
退職する社員に誠実に対応する
去りゆく人々への接し方も、極めて重要だ。予算が許す限り、敬意を表した退職金を支給する。福利厚生に関する明確な情報を提供し、可能であれば再就職支援や推薦状の作成を行う。会社に残るすべての社員が、その様子を見守っていることを忘れてはならない。
失業は労働者に長期的な影響を及ぼす可能性があり、解雇に関する研究でも、その打撃が長引くことが示されている。一企業のリーダーが労働市場全体を改善することはできないが、すでに十分に過酷な局面において、組織がこれ以上の不条理や冷酷さを加えるか否かは、自らの意志で決定できるはずだ。
人員削減を「前向きなこと」であるかのように取り繕うのが目的ではない。人員削減は決してポジティブなものではない。目的は、明確さ、誠実さ、そして徹底したフォローをもってリードし、混乱が収まったとき、組織文化が傷つきはしても崩壊はしていない状態を維持することなのだ。



