筆者や他の多くの専門家が広く指摘してきたように、AI(人工知能)のトレーニングと推論の拡大は、DRAMやNAND型フラッシュメモリといったメモリの供給によって深刻な制約を受けている。これらのソリッドステート(半導体)メモリ技術は、AIのワークロードをサポートするためのデータが格納される場所だが、ここ2年間にわたって供給不足が深刻化している。
DRAMおよびNANDメーカー各社は、少なくとも2027年まで完売状態にあると報告している。その結果、価格は急騰し、これらの製品は新たなAIデータセンターや消費者向けアプリケーションの展開に対する重大な制約となっている。
興味深い共同投資事業として、サムスン電子とSKハイニックスは、AI主導の需要に対応するため、韓国の南西地域に4つの新しいメモリ製造拠点と高帯域幅メモリ(HBM)のパッケージング・ハブを建設するために、共同で総額800兆ウォン(5180億ドル(約84兆1000億円))を投資する。この投資は、両社が韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領とともに発表したものだ。サムスンとSKハイニックスを合わせると、世界のDRAMメモリチップの約3分の2を生産していることになる。
両社はそれぞれ、主要な産業ハブが不足していた南西地域に2つの製造工場(ファブ)を建設する。両社はこれらの新しいファブがいつ完成するかについては明らかにしなかったが、SKハイニックスの崔泰源(チェ・テウォン)会長は、京畿道における現在の製造能力を構築するまでに9年かかったと述べている。
SKハイニックスは2025年後半、インディアナ州ウエストラファイエットに米国初となる生産拠点を建設すると発表した。これは、高帯域幅メモリ(HBM)に焦点を当てた40億ドル(約6500億円)の先端パッケージングおよび研究開発(R&D)施設となる。量産開始は2028年後半を予定している。また、SKハイニックスは、カリフォルニア州サクラメント近郊にエンタープライズ向けNAND型フラッシュメモリとソリッドステートドライブ(SSD)に特化した子会社のソリダイム(Solidigm)を、シアトル近郊に先端R&D施設を擁している。
サンディスクとキオクシアは、岩手県北上市の製造施設において、第10世代3Dフラッシュメモリ技術の生産を開始したと発表した。この第10世代NAND(BiCS10)は、332層のTLCフラッシュメモリを搭載し、最大4.8Gb/sの性能を備えており、第8世代製品と比較して33%向上している。
BiCS10は先進的な横方向スケーリング技術を採用し、業界最高水準となる29Gb/mm2を超える1TbのTLCメモリ密度を実現し、ビット密度を59%改善しつつ、最大4.8Gb/sのインターフェース速度を提供する。これは現在量産中の第8世代3Dフラッシュメモリと比較して33%の改善となる。
BiCS10 TLCはデータ入出力の電力効率も向上させており、前世代のBiCS8と比較して入力で10%、出力で34%消費電力を削減している。サンディスクとキオクシアの製造・設計パートナーシップは2034年まで延長されている。
マイクロンは先日、米国の半導体サプライチェーンを強化するために、総額30億ドル(約4870億円)を投資すると発表した。具体的には、テキサス州シャーマンにあるグローバルウェーハズ・アメリカ(GlobalWafers America)の300mmシリコンウェーハ製造施設における開発と製造を推進するため、グローバルウェーハズ(GlobalWafers Co., Ltd.)に5億ドル(約812億円)を提供した。その見返りとして、マイクロンはグローバルウェーハズと10年間のウェーハ供給契約を締結している。
マイクロンはまた、アイダホ州とニューヨーク州にも新たな製造施設を建設中だが、CEOのサンジェイ・メロトラ氏は、製造施設の建設に長期間を要するため、意味のある大規模な新規生産能力が稼働するのは2028年以降となる見込みだと警告している。マイクロンは現在、主要顧客の需要の約50%から3分の2しか満たせていない。
サムスン、SKハイニックス、サンディスク、キオクシア、マイクロンはいずれも、AI需要に対応するため、新たなDRAMおよびNAND型フラッシュメモリの製造・パッケージング施設を整備していると報告している。しかし、大幅な新規製造能力が稼働するのは、2027年後半または2028年以降となる見通しだ。



