中国共産党の王滬寧政治局常務委員ら中国の党・政府代表団が16日、平壌で北朝鮮の金正恩総書記と面会した。北朝鮮の朴泰成首相ら党・政府代表団も10日から12日まで訪中した。中国の習近平国家主席と金正恩氏が6月の首脳会談で合意した高官交流の一環だ。
習近平氏や王滬寧氏と会った際の金正恩氏の表情は、いずれも「破顔一笑」という表現がぴったりだった。中朝メディアは繰り返し、「双方は戦略的な意思疎通の強化で合意した」と報じた。一部には「台湾有事の際、北朝鮮が朝鮮半島で連携した動きを取って、複合事態を起こすための対話が始まったのではないか」という指摘も出た。
しかし、中朝の蜜月ぶりは、日米韓などに隙を見せないための演出だと考えた方が無難だろう。北朝鮮が依然、中国に気を許していない様子があちこちで見られるからだ。
朝鮮中央通信によれば、王滬寧氏らが北朝鮮で訪れた場所は、平壌では、金日成主席と金正日総書記の遺体が安置された錦繡山太陽宮殿、朝鮮労働党中央幹部学校、中国人民義勇軍烈士記念公園、そして日本海側の元山葛麻海岸観光地区などだった。いずれも、中国側に「北朝鮮の体制の尊重」「中朝の友好関係」「北朝鮮の発展」などを確認させる場所で、いわば、北朝鮮にとって「中国に訪れてほしい場所」ばかりだった。
王氏らが金正恩氏と面会した際には、長い楕円形のテーブルの片側に金正恩氏1人が座ったのに対し、中国側は王氏を含めて計9人が着席。「中国側が北朝鮮の最高指導者を敬っている」という構図を作り出した。
一方、両国は中朝友好協力相互援助条約を結びながら、これまで中朝合同軍事演習の実施が公式に確認されたことはない。北朝鮮を逃れた元朝鮮労働党幹部によれば、北朝鮮は中国側に軍事情報が漏れることを極度に警戒している。少なくとも現時点で、中国と北朝鮮が緊密に連携して複合事態を起こすような情勢とは見なしにくい。
中国側は、中国人がよく自虐的に使う「犬がしっぽに振り回される」状態にならないよう、北朝鮮の暴発を抑えるのが精いっぱいのようだ。6月に習近平氏が訪朝したのも、その前月にトランプ米大統領と会談した際、北朝鮮がミサイル発射などの軍事挑発行動に出ないよう、なだめるための「アメ」だったという指摘も韓国で出ている。



