ボストン市教育委員会から見た「アントレ教育」
米国は移民をはじめ異なるバックグラウンドをもつ人たちが集い、自己表現をしながらアイデアを共存させるため、イノベーションを生み出す社会基盤がそもそもある。それに加え、ボストン市では公立小学校・中学・高校でも、地域NPOや地域企業と協働する機会が多く、学校が開いているユニークさがある。教育委員会や学校が柔軟性をもちながら、アントレプレナーシップ教育だけに限らず、さまざまな外部ステークホルダーと連携し多様性を醸成している。
また、先生も、多様なキャリアを歩む人が多く、先生が企業など外部に出る機会や企業人が教員になること、外部に出てからまた教員に戻る事例も多々ある。校長もリカレント教育を行い、博士課程をもつ人が多い。さらに、直近では、60歳前後の先生でもAIを用いての授業に挑戦する事例も見てきた。
完璧と思われがちな先生でも失敗を恐れず挑戦している校内文化も大きいだろう。だからこそ、自己認識能力、自己決定能力、他者を受け入れる共感(エンパシー)を前提に行動できるとも言える。ボストン市教育委員会に勤める立場から見ると、多様性のなかで育む、愛と勇気と仲間こそがアントレプレナーシップ教育の基盤になると言える。

中村柾◎ボストン市教育委員会指導主事。早稲田大学国際教養学部卒業後、日本で4年間の公立中学校教員を経て、スタンフォード大学院、ハーバード大学院に留学し、現在に至る。留学希望者に新たな学びの場を紹介するNPO法人のEdFuture代表理事も務める。


