起業家

2026.07.29 13:30

豊田章男氏も学んだ世界一のアントレ教育現場。正解をつくる人と失敗を力に変える起業道

山川恭弘|米バブソン大学准教授

これからは「内発新結合」時代へ

2022年から開催している高校生向けアントレプレナーシッププログラム「高校生Ring」の立ち上げ、運営の経験を通して、今提唱しているのが「内発新結合」という言葉だ。経済学者ヨーゼフ・シュンペーターによるイノベーションを生む「新結合」からきているが、今や正解らしき知と知の組み合わせによる新結合はAIで秒速、かつ、大量生産できる時代だ。だからこそ、一人ひとりの感性を起点とした内発からの新結合、すなわち、「内発的動機(自分なりの意味)×外側の知」が重要になる。

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例えば、「高校生Ring」ファイナリストのなかに、天気予報に関するアプリの提案があった。「16℃は自分にとってどれだけ寒いかわからない」という半径5mの体感が、「一律の天気予報を変えることはできないか」という内発的動機に変わり、パーソナライズ技術という外側の知と結びついた。

半径5mの日常にある違和感に目を向け、AIやほかの人からは「ノイズ」と思われるものに「意味」を見いだし、「動機」に変えて、ちょっとやってみる。その一歩が、あなたにしかできない独自の創造につながる。だからこそ、「内発新結合」のアプローチが、これからの時代に重要なキーワードになるだろう。

赤土豪一◎リクルート「キャリアガイダンス」編集長、東京学芸大学 先端教育人材育成推進機構 准教授。21年に立ち上げた「高校生Ring」は累計10万人以上が取り組む国内最大級の高校生向けアントレプレナーシップ・プログラムへと発展。

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「アントレプレナーシップ教育」とは何か

「アントレプレナーシップ教育」はまだ起業のための教育であり、ビジネス教育として考えられる向きが強い。だが、世界や日本の教育界の主流は「広義のアントレプレナーシップ教育」だ。広義とは、起業以外を含む起業家的な資質・能力を培うための教育であり、創造性や機会志向、積極性を育むための教育だ。

同教育を通して養う「アントレプレナーシップのコンピテンシー(資質・能力)」を定めた「日本版EntreComp」では、3つのコア・コンピテンシー、10のコア・スキルに整理した。3つのコア・コンピテンシーは「機会の発見」、「資源の動員」、「不確実性、曖昧さ、リスクへの対処」。10のコア・スキルは「問いを立てる」、「情報を探索する」、「アイデアを作る」、「今ある資源を認識する」、「今ある資源を活用する」、「足りない資源を獲得する」、「不確実性、曖昧さ、リスクを見極める」、「試してみる」、「意思決定をする」、「学びを得る」だ。

アントレ教育は、ビジネス教育ではなく、日本社会をよくする多彩な起業家(社内起業家、社会起業家、政策起業家、地域起業家など)をはじめアントレプレナーシップをもつ人たちを生むための汎用的なコンピテンシーを培う教育と位置付けるべきだ。

馬田隆明◎東京大学 FoundX ディレクター、公益財団法人 国際文化会館 上席客員研究員 PEP ディレクター。文部科学省 全国アントレプレナーシップ人材育成プログラム委員(2021年度~)。

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文=山本智之 写真=若原瑞昌

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