損益計算書を全スタッフが共有し、経営を「見える化」
〈2006年、フジテレビがPRIDEの中継を終了する。翌2007年、経営危機に陥ったPRIDEは消滅した。2012年にはK-1の運営会社が破産し、空前の格闘技ブームはピリオドを打つ。2014年に新しい経営母体による「新生K-1」がスタートすると、大木はスタッフとして参画した。〉
M-1スポーツメディアに入ったのは、ちょうど子どもの出産を終えた時期です。パートタイムとして働き始め、マネジメント部に異動してからは武尊選手のマネージャー業に8年近く従事しました。2023年に代表に就任するまでに学んだのが、経営の「見える化」の重要性です。組織の状況や課題を誰もが把握できる環境をつくることが、より良い意思決定や組織運営につながると、現在もその考えを大切にしています。
格闘技と興行の世界は属人的な性格が強く、個に依存しがちです。団体同士の選手の引き抜きが過熱すると、スタッフでさえマッチメイクの状況を知らず、発表で初めて対戦カードを知るなんてこともありました。
このようなやり方では、「誰か」がいなくなった瞬間、興行はたちまち立ち行かなくなります。K-1を二度も潰さないためには「この人でなければできない」という属人的な態勢から脱皮して、誰でもK-1を運営していける仕組み化が大事だと考えます。
私たちは興行を打つたびに、全社員がPL(損益計算書)を共有しています。また、半期に一度ずつ、数字をフルオープンにした決算報告会を実施してきました。ここには社員だけでなく、選手やラウンドガールなどK-1ファミリーの皆さんにもお声かけして参加していただいています。
〈特殊なノウハウが求められる即戦力重視の興行の世界では、経験者の中途採用がほとんどだが、M-1スポーツメディアでは新卒採用を実施している。〉
格闘技の運営会社で定期新卒採用を実施しているのは、K-1だけではないでしょうか。格闘技の興行ビジネスは特殊ですので、経験者を雇ったほうが仕事が早く回るのはわかるんです。でも、いつの時代だって世界を変えるのは若者であり、新しい風を吹きこんでくれるのは若者ではないでしょうか。
M-1スポーツメディアではでは大学を卒業したての若い社員も決算報告会に参加し、経営方針やビジネスの方向性をみんなで共有します。すべてのスタッフに数字を「見える化」しなければ、経営は持続可能な形で継続できません。K-1をグローバル展開するどころではないわけです。


