7. 『インセプション』
ノーランのキャリアの頂点に君臨するのが、SFとケイパームービー(強盗・犯罪映画)を見事に融合させ、精神の構造の奥深くへと踏み込んだ『インセプション』だ。レオナルド・ディカプリオが、潜在意識から秘密を盗み出す泥棒コブを演じ、他人の脳内にアイデアを植え付ける(インセプション)という任務に挑む。革新的なコンセプト、息をのむような映像美、そして登場人物たちの感情的な旅路が高く評価されている。幾重にも重なる物語と、ハンス・ジマーによる象徴的な劇中音楽が相まって、知性と感情を等しく刺激する魅惑的な体験を生み出している。
キャスティング、撮影、ポストプロダクションを含む『インセプション』の全制作プロセスは約18カ月に及び、複雑で多層的な物語を具現化するにあたってのノーランの緻密な計画と実行力を裏付けている。
『インセプション』は、ストーリーテラーとしてのノーランの天才ぶりを証明するだけでなく、今なお影響を与え、インスピレーションを刺激し続ける映画史の記念碑的役割を果たしている。ノーランの監督スタイルそのものを体現した作品であり、想像力の限界や夢の力を探求したいすべての人にとって必見の1本だ。
8. 『ダークナイト ライジング』
ノーランの「バットマン」3部作を締めくくる『ダークナイト ライジング』では、ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)が隠遁生活から復帰し、ゴッサム・シティの破壊を目論む新たな強敵ベイン(トム・ハーディ)に立ち向かう。同作は「継承」「犠牲」「不屈の精神」というテーマを深く掘り下げ、混沌の瀬戸際に立たされたゴッサムを描き出す。2時間半を超える上映時間の中で、ノーランはこれまでの作品で提示された物語の伏線を回収する壮大なフィナーレを構築した。アン・ハサウェイ演じるキャットウーマンが作品に複雑さと魅力を添え、ハーディによるベインの描写は威圧的でありながらも記憶に焼き付く。
『ダークナイト ライジング』の制作期間は長期にわたり、2011年初頭にプリプロダクションが開始され、撮影は同年5月から11月まで行われ、厳しいポストプロダクションを経て、2012年夏の公開のわずか数カ月前に完成した。
筆者を含め一部の批評家は、多くのキャラクターやサブプロットを詰め込みすぎた結果、脚本が時に散漫になってしまったと感じた。しかし、『ダークナイト ライジング』が、スーパーヒーロー映画のジャンルを再定義した3部作の幕引きにふさわしい映画になったことは間違いない。


