3. 『インソムニア』
ノーランの長編3作目となる『インソムニア』は、少女殺人事件を捜査するためにアラスカの小さな町に派遣されたウィル・ドーマー刑事(アル・パチーノ)の心理的葛藤を描く。アラスカの夏に見られる白夜がドーマーの不眠症を悪化させ、彼の内なる葛藤や罪悪感を浮き彫りにする。同作を1年足らずで創り上げたことで、ノーランは道徳的な曖昧さの暗い深淵を探求したいという自身の願望を早い段階で示した。
キャスティングからポストプロダクションに及ぶ『インソムニア』の制作サイクル全体は1年以上を要し、制約のあるスケジュールの中で心理スリラーの複雑さを効率的に処理するノーランの手腕を示した。
『インソムニア』の最大の魅力は、間違いなくその演技にある。ロビン・ウィリアムズが不気味な悪役を演じ、パチーノ演じる主人公を混乱に陥れることで、正義と邪悪の間の厳しい選択に直面したときに自分ならどうするかを観客に考えさせる。謎や道徳的ジレンマを取り入れたノーランの初期の優れた好例であるものの、後に彼が同様のテーマをより深く探求した作品群と比べると、同作は見劣りしてしまう。
4. 『バットマン ビギンズ』
『バットマン ビギンズ』は、ノーランの「ダークナイト・トリロジー」の始まりを告げる作品であり、バットマン誕生の物語をダークかつリアルに再構築した。クリスチャン・ベールがブルース・ウェインを演じ、ウェインがバットマンへと変貌を遂げる動機や、ゴッサム・シティの裏社会との戦いを描く。当時のスーパーヒーロー映画の現状にうんざりしていた多くの批評家が指摘したように、本作はキャラクター開発、道徳的な複雑さ、そして地に足の着いたアプローチによって際立っている。
この記念碑的な作品の制作は、初期のキャスティングからポストプロダクションの終了まで2年近くに及び、ノーランがバットマン・フランチャイズ(バットマンを軸とする作品群)をよりダークでリアルなトーンで再始動させるために、いかに細心の注意を払ったかを反映している。
『バットマン ビギンズ』はフランチャイズを復活させたものの、一部の批評家からは、第1幕の展開がゆっくりすぎてバットマンの登場が遅れたという不満も聞かれた。しかし、ノーランの演出、ベールの演技、そしてラーズ・アル・グール(リーアム・ニーソン)という魅力的な悪役の存在は、間違いなく新しい世代に向けてバットマンの定義を書き換えた。


