地球の気候に大打撃を与える炭素の排出量をめぐる懸念が高まっているにもかかわらず、地球は炭素が著しく欠乏している。炭素は、地球では極微量元素であり、太陽でも微量元素にすぎないと、米ワシントン大学名誉教授のドン・ブラウンリーは、2024年にプリンストン大学出版局から刊行された、米コロラド大学ボルダー校名誉教授セオドア・スノーとの共著「The Sixth Element: How Carbon Shapes Our World(第6元素:炭素は地球をどのように形作っているか)」に記している。
炭素を含む化石燃料を人類が利用することに関連する問題があるにもかかわらず、人類の存在全体は、この元素が持つ多様な化学反応を起こす能力に基づいていると、著者らは指摘する。
驚くべきことは、地球全体において炭素がいかに希少であるかだ。すなわち、炭素の全存在度が数百ppm(100万分の数件程度)にすぎないと、ブラウンリーは取材に応じた電子メールで述べている。にもかかわらず地球上では、炭素が複雑な分子の進化を引き起こし、生命誕生を可能にした化学経路をもたらした決定的な妙薬となったことは間違いないと、ブラウンリーは続けている。
ブラウンリーとスノーの共著によると、意外なことに、太陽系で最も炭素が豊富な天体は太陽や惑星ではなく、彗星や小惑星などのより小型の天体だ。これらは惑星の原材料物質の残余物で、惑星との衝突や太陽軌道からの放出を40億年以上にわたって逃れてきたものだという。
それでも、層状構造をしている地球では、周期表の6番目の元素である炭素は大気圏最上部から内部の中心核までの全ての階層中に存在している。
なぜ地球はそれほど炭素に乏しいのか
地球は太陽のハビタブルゾーン(生命生存可能領域)内で形成されたが、この領域内では、炭素の固体(氷)が効率よく形成されることはなかったと、ブラウンリーは説明する。地球は、太陽からより遠く離れた場所で形成された典型的な小惑星や彗星に比べて、炭素が非常に枯渇しているのだと、ブラウンリーは続ける。小惑星や彗星は固体惑星の材料物質が保存されているものと見なされることが多い。
だが、炭素が問題を引き起こす可能性もある。
ブラウンリーによると、炭素は独自の税(炭素税)の対象となっている唯一の化学元素だ。人類は炭素への対処法を知るために何十億ドルもの資金を費やしており、人類による炭素の使用が地球を破壊しようとしているとする説は繰り返し唱えられている。化石燃料の産出は人類への自然の贈り物だが、化石燃料が原因で発生する地球温暖化は数々の深刻な影響を及ぼしているという。
将来の課題
ブラウンリーによると、二酸化炭素(CO2)の蓄積に起因する気温の上昇は、海水面の上昇を引き起こし、農作物の栽培地域と地球規模の異常気象のパターンに変化をもたらす。だが、人類が現在実行できることによって地球が破壊されることなどは起こり得ないという。



