われわれ人類が今この地球でこの点について議論できるのも、炭素が、地球上では比較的希少であるにもかかわらず、さまざまな元素と結びついてほぼ無限の種類の化合物を生成できる能力を持つからである可能性が高い。だが太陽系において、生命が異なった方向に進んだ結果、炭素ではなくケイ素などの元素に基づく生命体となることもあり得るだろうか。
宇宙においてケイ素は希少な元素というわけではない(銀河系で7番目に存在度が高い)が、炭素は存在度がその約4倍高いと、ブラウンリーとスノーは共著で指摘している。だが地球では、ケイ素は炭素に比べてはるかに存在度が高い(質量比で約26%)という。
太陽系内でケイ素に基づく生命体が見つかる可能性については、どうだろうか。
ブラウンリーによると、太陽系史の最初の数百万年間に、ケイ素が豊富な始原的隕石の母天体となる天体が加熱されて「温かく湿った」状態に保たれた時期があった。だがこの数十億年前の物質に含まれるケイ素が、生命と見なされる可能性のあるプロセスに関与したことを示す証拠は、多数の月面サンプルや隕石、彗星サンプルに関する調査でも一切確認されていないと、ブラウンリーは説明している。
太陽系外のケイ素に基づく生命体については、どうだろうか。
太陽系外惑星の非常に良好なスペクトルを多数取得できたとしても、ケイ素ベースの生命についての情報が得られる可能性は低いだろう。なぜならこのような系外惑星の大気中にはケイ素を含む気体は存在しないと考えられるからだと、ブラウンリーは指摘する。地球の生命は、自然に起こり得る化学反応だけでは作られない(窒素、酸素、二酸化炭素からなる)奇妙な大気を生成したことにより、地球外生命体が地球の生命を検出するのは明らかに容易になっているという。
炭素は銀河系内でどのように分布しているのだろうか。
ブラウンリーによると、惑星が生命を育むための炭素の最適量というものが存在するだろうが、それがどのくらいかは誰にもわからない。多すぎると(金星のように)有害な大気になる可能性があり、少なすぎると単純に少なすぎて生命が発生できなくなるかもしれないという。
未解決の根本的な問題
その1つが、実際にどのようにして地球型惑星に炭素が取り込まれるのかという問題だ。
太陽と初期太陽系には(水素、ヘリウム、酸素に次いで4番目に存在度が高い元素の)炭素が大量に存在したが、地球は固体から形成された一方で、大半の炭素原子は気体の一酸化炭素の形態だったと、ブラウンリーは指摘している。


