「我々の目標は、打倒アマゾンだ」と彼は話す。
Lehmannはその夢の実現のためにもっと多くの資金が必要だと考えている。Postmatesは、6月に8,000万ドル(約9億6,000万円)を調達したばかりだが、ドイツ出身で38歳のLehmannは、11月5日に行われたフォーブスとのインタビューで、早ければ来年1月にも新たな調達を実施する考えがあることを明らかにした。
「我々の配達件数は、年末までに月間100万件に達する見込みだ」とLehmannは言い、この実績を投資家への説得材料にするとしている。 スタートアップの希望評価額が10億ドル(約1,200億円)に達すると、ベンチャーキャピタルは敬遠する傾向があるが、Lehmannは、強固な財務基盤と堅実なビジネスモデルを理由に、次回のラウンドにも自信を持っている。
Postmatesは、地元の商店から食事や商品を家庭に配送しており、2015年の流通総額は2億5,000万ドル(約300億円)、売上高は前年の5倍となる6,000万ドル(約72億円)に達する見込みだ。粗利率は18%-20%だが、黒字化はまだ達成できていないことをLehmannも認めている。
テック業界の巨人、アマゾンも継続性の高い客を獲得するためには、短期的な赤字を辞さないことで有名だ。アマゾンはこの一年で、1時間以内に配達するサービス「Prime Now」の提供エリアを拡大し、一般の人に配達業務を依頼する「Amazon Flex」もスタートさせている。
こうしたアマゾンの脅威について、Lehmannは「全く気にしていない」と胸を張る。彼は、ローカルビジネスの多くは、自分の商売を奪いかねないアマゾンを敬遠する可能性があるとし、Postmatesはレストランなどの商店にフレンドリーな配達サービスであると述べた。
しかし、シリコンバレーの専門家の中には、それだけではビジネスモデルとして不十分だと指摘する者もいる。Uberの出資者であるビル・ガーリーは、最近行われたインタビューで、ドットコムバブル時代に失敗した類似サービスと比べて、Postmatesに特段優れたノウハウがある訳ではないと述べた。 Sailthruが主催したトークイベントに登壇したガーリーは、「PostmatesやShypのような配送サービスは過去にもあった。99年に登場したKozmoと何ら変わらない」と指摘した。
Lehmann自身も、Kozmoやドットコムバブルの失敗事例で知られるWebvanとの類似性をある程度認めており、Postmatesがフードデリバリーの先駆けでないことも自覚している。しかし、これらの二社は、時代を先取り過ぎて失敗したのに対し、「Postmatesは都市部で人口集中が進んだことが追い風となり、今や40都市で事業を展開し、配達スタッフを18,000人抱えるまでに成長した」とLehmannは話す。
サンフランシスコでは、配達の待ち時間が平均34分にまで短縮されているという。 Postmatesの評価額は、6月の資金調達時に約5億ドル(約600億円)に達した。Lehmannは、引き続きアメリカでの事業拡大に意欲を燃やしている。また、彼はサンフランシスコを拠点とするイベントスタートアップ「Sosh」社から、創業者のリシ・マンダルを含む18名を引きぬいたことを今回明らかにした。