人類は並外れて成功した生物種だ。数十万年前は総人口100万人足らず(すべてアフリカ大陸内)だったのが、現在は80億人にも達し、世界中に分布している。だが、この成功には代償が伴っている。
人類がこれまで地球から(大半は貯蔵された太陽エネルギーすなわち化石燃料の形で)採取したエネルギーが、大気に変化を生じさせ、今や気候系を未知の方向に押しやりつつある。気候変動は未来にとって重大なリスクをもたらす。このことはどの保険会社も指摘している。科学者は数十年にわたり、このリスクの規模を解明しようと試みている。この約1年の間に伝えられた、気候の最前線に関する良いニュースと悪いニュースがある。今回の記事では、これら両方のニュースについて簡単に解説する。
まず、良いニュースから始めよう。そしてこのご時世、何についてであれ良いニュースがあることが朗報だ。4月に発表された論文によると、気候研究でこれまで用いられてきた最悪事態のシナリオは、検討対象から除外できることが研究で明らかになったというのだ。
これは正確にはどのような意味か。
気候学者はこの数十年間、研究に用いる気候モデルを標準化する目的で、化石燃料の使用による大気中への二酸化炭素(CO2)排出量に関する一連の予測シナリオを開発してきた。CO2は気候変動を促進する温室効果ガスとして最も懸念されるため、気候モデルにはそれぞれのCO2排出量シナリオが組み込まれる。
研究ではこのモデルを用いて、2100年までに地球がどうなるかを予測する。これは未来における人類の化石燃料の使用量について、科学者が自身のモデルに利用できるシナリオのメニューが用意されているようなものだ。今回の良いニュースは、まさにこの点に由来する。化石燃料の使用に関する最も極端な予測は、最も極端な気候変動につながるものだったが、今回の研究によって「起こり得ない」と見なせるようになったわけだ。



