言うまでもないが、気候変動をめぐっては際限のない懐疑論が存在するため、このニュースは気候変動が常にでっち上げである証拠だと即座に主張した人々もいた。研究チームが今回、極端なシナリオを排除したのは、そういう主張を受け入れたからではもちろんなく、もっともな理由があるからだ。状況が変わったのは、人類が状況を変えたからだ。
気候変動に対して必要とされる対策の実施は全体的に不十分だが、人類はこれまで何らかの手を講じてきている。すなわち化石燃料の使用ペースを落としていることこそが、極端なシナリオがもはや起こりそうにないと思われる理由に他ならない。これは称賛すべきことだ。
では、悪いニュースは何だろうか。最も極端な排出量シナリオは検討対象から除外された一方、人類は今なお地球を特異な気候状態へと陥らせつつある。しばらく前に科学者と政策立案者は、世界平均気温の1.5度上昇を、超えてはならない「レッドライン」として設定した。この数字は、過去1万2000年間にわたる地球平均気温の変動の調査から得られたもので、以前の変動幅は常に2度未満だった。
だが最近、人類は初めてレッドラインを超えたことが確認された。恒久的に超えてしまう日も近いようだ。これにより、人類とその子孫は真に地球規模の未知の領域に追いやられる。この不確かな未来には、かつてない劇的な気候状態を迅速かつ取り返しのつかない形で引き起こす恐れのある「気候転換点」が含まれている。
したがって、人類にとって良いニュースが見つかれば受け入れるが、かつてないほど気候変動が進行した世界へと人類が向かっていることについては疑う余地がない。人類にはまだこの先に取り組むべき課題が待ち受けている。


