サイエンス

2026.07.22 13:00

ヒトの睡眠時間はなぜ約7時間なのか 霊長類最短でも脳を維持できる理由

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加えて、体のサイズや代謝の影響が、問題をさらに複雑にしており、これもまたすっきりとは説明できない。一般的に、体の大きな動物は、そのサイズに比例して、小さな動物と比べて、必要とする睡眠時間が短い。体のサイズと睡眠時間の関係性は、2007年に学術誌『米国科学アカデミー紀要(PNAS)』に発表された研究において、明確にモデル化されている。

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同研究では、このパターンを示す例として、マウスはゾウに比べて、1日の睡眠時間がおよそ4倍長いことを挙げている。しかしヒトは、体サイズに基づくこうしたパターンにも、きれいには当てはまらない。体サイズから予測される睡眠時間は、全体の真ん中あたりであるはずなのに、実際には短い部類に属するのだ。

このことは、安全性や代謝だけでなく、「脳の複雑さ」が、睡眠時間を左右する追加の要因になっているとする説が、繰り返し主張される理由の一つだ。しかし、それが実際にどの程度寄与しているかは、研究において確定的な答えが出ておらず、今なお議論が続く、未解決の疑問として残されている。

結局のところ、ヒトの睡眠パラドックスとは、ヒトが「眠りすぎ」ということではないし、その睡眠量がいかなる日常的な基準に照らしても「不合理」に多い、ということでもない。そうではなく、ヒトが備えているような脳に必要と推測される睡眠時間の「予測値」より、はるかに短い睡眠しかとっていないところに、パラドックスが存在する。

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そして、ヒトの睡眠は他の動物と比べて並外れて安全かつ効率的であるために、我々は短い睡眠で間に合っているのだとみられる。すなわち、この惑星に生きる他のほとんどの霊長類が、生きているあいだに一度も経験することのないレベルで、睡眠がひとまとまりに集中し、並外れて深く、かつ並外れてレム睡眠の占める割合が高く、途中で妨げられないために、短い睡眠時間で足りるのだ。

このように見ていくと、ヒトにとっての「7時間の睡眠」は、午後にうたた寝をするイエネコや、半覚醒状態で警戒を怠らずに眠るヒヒと比べて、一見してそう思えるほどにぜいたくで長すぎる休息とは言えず、実際のところ、ぜいたくとは正反対に近いものだ。これほど代謝要求の高い脳が、より少ない睡眠で済ませる方法を見いだしたのは、霊長類の歴史上初めて、単に長く眠るのではなく「ぐっすり眠る」余裕を、ようやく得られたおかげなのだ。

forbes.com 原文

翻訳=高橋朋子/ガリレオ

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