暮らし

2026.07.24 12:00

スマホより「幸福度を奪う」習慣、ネット利用を周囲に合わせる同調圧力

stock.adobe.com

影響が世代によって異なる理由

この発見は研究者たちをしばらく悩ませてきた疑問を解き明かすのに役立つ。若者においてはネット使用に伴うウェルビーイングの低下が最も顕著だが、数年前に比べて実際のネット使用量はそれほど劇的に増えているわけではない。これは主に、若者が以前より頻繁にスマホを使っているということではなく、多くの若年成人にとってソーシャルメディアの利用は調査対象となったほぼすべての国でほぼ当たり前になっているということだ。問題は、比較対象となり得る「ネット利用が少ない」同世代のグループがほとんど残っていないという点にある。彼らにとって、すでにネットに大きく依存していない「普通」という基準が存在しないため、環境によって自然に歯止めがかからない。

advertisement

これに対し、より年上の人は依然としてより多様なデジタル環境の中で暮らしている。頻繁にネットを利用する人もいるし、そうでない人も多い。そのため、ネットにどっぷり浸かっている仲間の制御不能な傾向に引き込まれることなく、一人ひとりの利用状況がその人の基準で重要視されるようになっているようだ。

意志力の問題ではない

ここが自制だけで解決できることを期待する人にとって不都合な点だ。専門誌『Frontiers in Psychology』に2025年に掲載されたレビューが示しているように、オンライン行動を最も一貫して左右するのは実際の規範ではなく、人々がそうだと思い込んでいる規範だと指摘する研究結果が増えている。もし悪影響が周囲の人のネット利用状況に応じて増大するなら、ネットの利用が極めて浸透した世界において自身のネット利用を減らしたとしても守られるのは一部分にすぎない。それでもなお、過剰な利用を目立たなくし、適度な利用を節制のように感じさせるよう設計された社会規範の中で暮らし続けている。自分だけが完全にネットから距離を置こうとすることは流れに乗るのではなく逆らう行為になる。

この仕組みの影響は気分だけにとどまらない。ネット利用が浸透している環境下でネット利用が増えることは、対人信頼の実際の低下と連動している。この関係は、専門誌『Frontiers in Sociology』に2025年に掲載された、中国のサンプル研究でも確認された。加えて、社会的つながりの感覚の希薄化が見られ、特に注目すべきは、実際の対面での交流がそれほど減っていない場合でさえ、人々が自身の社会生活を同世代と比べて評価する際、その評価がより急激に低下している点だ。こうした悪影響は多くの場合、まず認識のレベルで現れる。

advertisement

重要なのは、スマホをやめる必要があるということでも、ネットの使用は悪ということでもない。決定的な要因は個人ではなく環境にあるということだ。つまり、どのような仲間や家族、友人グループと付き合うかが1人でアプリを使用するのと同じくらい重要ということだ。

過剰なネット使用が当然のこととみなされない人間関係やコミュニティを求めることは、自分で設定するスクリーンタイムのルール以上に幸福感を高める可能性がある。なぜならそれは単に測定対象の行動を変えるのではなく、測定の基準を変えるからだ。

結局のところ、断ち切るべきはスマホを頻繁に確認する習慣ではなく、過剰なネット使用が浸透している環境を当たり前のものと勘違いする習慣だ。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事