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教育

2026.07.21 10:31

AIエコノミーにおいて「感情教育」が必要とされる理由

Adobe Stock

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AI企業のアンソロピック(Anthropic)が今年初め、企業向けツールの最新スイートを発表したとき、投資家たちがその影響を理解するのに時間はかからなかった。

新製品には、かつては膨大な人間の時間を要した契約書のレビューや法務ワークフローを実行できるプラグインが含まれていた。わずか1日のうちに、世界中のソフトウェア株の価値から推定2850億ドル(約46兆3000億円)が吹き飛んだ

市場は、率直な結論に達したようだった。技術的な仕事は、より安価になりつつある、と。

しかし、そのわずか数日後、アンソロピックのプレジデント兼共同創業者のダニエラ・アモデイは、同社が人材を採用する際に重視していることについて、かなり異なる見解を示した。

「私たちを人間たらしめるものが、はるかに重要になるだろう」と、彼女はABCニュースに語った

アンソロピックが求めているのは、「優れたEQ(感情的知性)と対人スキルを持ち、親切で思いやりがあり、好奇心旺盛な」優れたコミュニケーターであると彼女は説明した。他者を助けることに意欲を持つ人材を求めているのだ。AIの急速な進歩にもかかわらず、人間の関与なしに完全にAIだけで実行できる仕事の数は、いまだに「極めてわずか」であるとアモデイは信じている。

これは、不穏な新製品発表の衝撃を和らげようとするAI企業の幹部による、単なる気休めの言葉ではなかった。

マイクロソフトのサティア・ナデラCEOも、11月に出演したポッドキャスト番組「MD Meets」で同様の主張を展開した。AIがより分析的で技術的な仕事を引き受けるようになるにつれ、共感力や感情的知性の価値は下がるどころか、むしろ高まっていくと彼は示唆した。

JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOも、翌月のフォックス・ニュースでこの見解に同調した。若者へのアドバイスとして、彼は「批判的思考力を養い、スキルを身につけ、自身のEQを鍛える」と同時に、分かりやすい文章を書き、会議で効果的に貢献できるようになることを勧めた。

ひとつのパターンが浮かび上がってきている。

職場の自動化を構築し導入している当事者たちが、理想的な従業員像を語る際、コンピュータサイエンスの講義というよりも、人間形成の授業に近い言葉を使うことが増えているのだ。

研究データも同じ方向を示している

データも、これらのビジネスリーダーたちの発言を大いに裏付けている。

世界経済フォーラムの「仕事の未来レポート 2025」は、22の業界と55の国・地域で事業を展開する1000社以上の雇用主からの回答に基づいている。雇用主が最も重視する10のコアスキルのなかに、分析的思考、レジリエンス、創造性と並んで、共感力と積極的傾聴(アクティブ・リスニング)が入っている。

このレポートは、生成AIがどのスキルを代替する可能性があるかを検討する段になると、さらに興味深い事実を明らかにする。

インディード(Indeed)の「Hiring Lab(ハイアリング・ラボ)」と共同で、研究者たちは2800以上の職務スキルを調査し、それらを現在の生成AIシステムの能力と比較した。その結果、代替される可能性が極めて高いスキルは、ただのひとつも特定されなかった。

代替される可能性がほとんどないスキルは、人間関係に根ざしたものだった。共感力と積極的傾聴は、そのグループの最上位に位置していた。

ここに、際立った一致が生じている。雇用主は、AIが最も再現しにくい性質に、より大きな価値を置いているのだ。

教育界のリーダーたちにとって、これは単なる興味深いこぼれ話として片付けられるべきではない。子どもたちが学校で何を学び、練習し、経験するべきかを決定する際の拠り所となるはずだ。

しかし、その機会は失われつつあるのだろうか。一例として、イングランドの取り組みを見てみよう。

イングランドのカリキュラム改定

イングランドは現在、10年以上ぶりとなるナショナル・カリキュラム(国の学習指導要領)の全面的な見直しを進めている。

独立機関である「カリキュラム・評価審査委員会」は、2025年11月に最終報告書を公表した。政府は同日、その勧告の大部分を受け入れた。そのなかには、口頭でのコミュニケーションを強化することを目的とした、新しい「オラシー(話し言葉の教育)」の枠組みが含まれていた。

改定された学習計画に関する協議は2026年9月に始まる予定で、学校現場では2028年から新カリキュラムに沿った指導が開始される見込みだ。提案されている改革のなかで、コミュニケーションは確固たる地位を築いている。

しかし、感情的知性は、少なくとも同程度には重視されていない。

教育専門家のジーン・グロスは、これが重大な見落としであると考えている。グロスはかつて英国政府の顧問を務め、「SEAL」として知られる国の社会的・感情的学習プログラムを主導した。彼女は、教育基金財団(EEF)の社会的・感情的学習に関するガイダンスの共同執筆者でもある。

今月の『Tes』誌への寄稿で、彼女は、社会的・感情的な発達が「人間関係と健康教育」という、多くの学校が優先順位をつけるのに苦労している領域に押し込められてしまっていると主張する。その一方で、基幹カリキュラムはいまだに教科知識の習得に圧倒的な焦点を当て続けている。

他者の視点を理解する、意見の相違を解決する、フィードバックに建設的に対応する、失敗から立ち直るといったスキルは、すべて教えることが可能だ。しかし、これらを計画的、かつ一貫した方法で育成している学校はほとんどない。

グロスは、機械によってますます形作られていく経済において、こうした人間ならではの能力こそが「私たちのUSP(独自の強み)」であると表現する。

教育基金財団の「指導・学習ツールキット」は、効果的な社会的・感情的学習によって、1年間で平均4カ月分の学習進度の上乗せ効果が得られる可能性を示唆している。報告された学習効果は、恵まれない環境にある生徒において最も大きかった。

このデータは完璧というわけではない。EEFはその確実性を「低」と評価しており、結果は実施の質やスタッフの研修に大きく依存すると警告している。

その留保事項は真剣に受け止めるべきだ。しかし、だからといって、2030年代まで教育を規定することになるカリキュラムからこの取り組みを除外してよい理由にはならない。むしろ、学校がより細心の注意を払い、より強力な研修を行い、明確な期待値を持ってこれに取り組む必要があることを示している。

影響はすでに現れている

これは、遠い未来の労働力問題ではない。

5月、英国の元保健相であるアラン・ミルバーンは、無職の若者に関する独立調査の中間報告書を公表した。彼は、国が「世代間の断層」に直面していると警告した。

この報告書は、2026年第1四半期に16歳から24歳の100万人が在学・就業・職業訓練のいずれも行っていないことを示す国家統計局のデータと同時に発表された。

実効性のある改革が行われなければ、その数は5年以内に125万人に達する可能性があるとミルバーンの調査は推計している。これらの若者の大半は、単に労働市場から自発的に退場したわけではない。約84%が、仕事を求めているか、訓練を受ける機会を望んでいると回答している。

グロスは、この報告書が、雇用主たちから繰り返し提起されてきた懸念を裏付けるものだと主張する。就職し、職場で働き続けるために必要な対人スキルを身につけないまま応募してくる若い求職者が多すぎるのだ。

AIはこの問題を大幅に悪化させる可能性がある。

従来、定型的なルーティン業務は、若手社員が職場の仕組みを学ぶ機会となってきた。同僚の働き方を観察し、自信をつけ、対処可能な失敗を経験しながら、徐々により大きな責任を担っていくことができた。

そして、そうした業務こそが、最も自動化の脅威にさらされているタスクでもある。

かつて初心者が足場を固めるのに役立っていた仕事の一部をAIが奪い去り、同時に雇用主がより高い判断力、コミュニケーション能力、感情的知性を求めるようになれば、雇用への第一歩を踏み出すことははるかに困難になる。

学校は近い将来、これらの資質を、一貫してかつ大規模に育成できる唯一の機関になるかもしれない。

学校は待つ必要はない

グロスは、オリジナルのSEALの教材がいまだにオンラインで無料公開されていると指摘する。これらには、学校生活のさまざまな場面で活用できる授業、集会、アクティビティなどが含まれている。また、EEFも社会的・感情的学習を日々の指導に組み込むための6つの推奨事項を公開している。

重要なのは、意識(コンセプト)の変革である。

感情的知性はカリキュラムの一部として扱われるべきであり、本格的な学術の学習が終わった後に取り組むような、おまけの生活指導として扱われるべきではない。

それは、単に作業を分担するのではなく、生徒同士が意見の相違を調整しなければならない体系的なグループワークを意味するかもしれない。あるいは、批判を伝え、それを受け止め、自己防衛的にならずに対応する方法を生徒に教える、フィードバックの手順を取り入れることかもしれない。

歴史や科学の授業では、ロールプレイングを用いて、異なる視点から出来事や決断を検討させることができる。プロジェクト型の学習では、最終的な提出物の質を評価するだけでなく、生徒がどのようにコミュニケーションを取り、協力し、適応したかを評価することも可能だ。

生徒が下す選択、投げかける質問、不確実性への対処法、そして他者と協働する能力は、彼らの将来への準備度について、はるかに多くのことを教えてくれるかもしれない。

カリキュラムの時間は限られている。イングランドが知識重視のカリキュラムへと舵を切ったことで、教師たちはエビデンスに基づく指導に自信を持てるようになった。その成果を捨てることに賛成する人はほとんどいないだろう。

また、人間ならではのスキルを一貫して評価することは困難だ。学校現場は、政策文書でいかにその重要性が強調されていても、正式な評価対象から外れているものは、すぐに二の次にされてしまうことを熟知している。

グロスは別のリスクも認めている。教師たちは既存のモデルに適応するために何年も投資してきた。突然の方向転換は、より良い結果をもたらすことなく、現場の混乱を招くだけに終わる可能性がある。

これらは改革を慎重に設計すべき理由であって、問題を無視してよい理由にはならない。

AIの最前線にいる企業は、自社のシステムがどの業務を吸収していくかを把握している。同時に、どのような性質を再現することがいまだに困難であるかも分かっている。それらの企業のリーダーたちは、何度も繰り返し、共感力、コミュニケーション、好奇心、判断力、そして感情的知性の重要性に立ち戻っている。

9月に予定されているイングランドのカリキュラムに関する協議は、これに応えるひとつの好機となる。

あらゆる国の教育制度が、同じ決断を迫られている。

機械を作る人々が、人間ならではの資質の価値が高まると語るとき、学校はその言葉を信じる覚悟ができているだろうか。

forbes.com 原文

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