2026.07.21 09:14

世界が注目するグリーンランド、旅人たちが後に続く

stock.adobe.com

stock.adobe.com

グリーンランドはこの2年間、ヘッドラインを飾り続け、それまで何も知らなかった何百万人もの人々にこの地を紹介してきた。しかし、ひとたび旅行者がこの北極圏の島について調べ始めると、地政学よりもはるかに重要な何か、すなわち、そびえ立つ氷山、クジラが泳ぐフィヨルド、そして魅力的なイヌイット文化を発見することになる。世界に残された数少ない本物の秘境(フロンティア)の一つに、なぜこれほど多くの人々が惹きつけられているのだろうか。

なぜグリーンランドへの関心が高まっているのか?

「グリーンランドへの関心を高めている要因は3つある」と、旅行アドバイザーで「Niveus Travel」のオーナーを務めるジェーン・ハームステッドは語る。「1つ目はアクセスだ。2025年現在、米国ニューアークからヌーク(グリーンランドの首都)まで5時間未満の直行便で行くことができる。2つ目は政治だ。米国が国全体を買い取るというアイデアを公然と浮上させたことは大ニュースとなり、グリーンランドは何カ月にもわたって報道された。望んだ注目ではなかったかもしれないが、信じられないほどの無料のマーケティングキャンペーンとなった。そして3つ目は、荒々しく、人里離れた、大自然の場所へと惹きつけられる人々が増えていることだ。グリーンランドはこのトレンドに完璧に合致している」

グリーンランドを体験する最善の方法とは?

ハームステッドは、クライアントに探検クルーズ(エクスペディション・クルーズ)を勧めている。「グリーンランドは陸路での旅行に対応するインフラがまだ整っていない」と彼女は言う。「ホテルは少なく、距離は膨大で、道路網は事実上存在しない。ここに見に行くもののほぼすべては、水上を移動しなければ到達できない」。彼女は、優れた探検船こそが、他の方法では不可能な出会いへの扉を開いてくれると説明する。

グリーンランドでの意義深い旅行体験

旅行アドバイザーで「Secret Atlas」の共同創設者であるミケーレ・ダゴスティーノは、「旅行者は、従来のバケットリスト(死ぬまでにしたいことリスト)にあるような目的地を超えて、本当に人里離れた、本物の、観光客の少ない場所を求めるようになっており、グリーンランドはまさにそれを提供している」と語る。「従来の観光よりも、自然や野生動物、地元の文化を中心とした、意義深い旅行体験への欲求も高まっている」。グリーンランドの劇的な氷山、広大なフィヨルド、北極圏の野生動物、そしてイヌイットの遺産は、世界の他のどこにもない体験を生み出す。

インフラの制限がクルーズの舞台を整える

「グリーンランドの限られたインフラは、実は最大の強みの一つだ」とダゴスティーノは言う。「この国の海岸線の多くは道路が通っておらず、最も壮観な場所の多くは海からしかアクセスできない」。これにより、はるかに没入感があり、柔軟な体験が可能になると同時に、観光が与える影響を最小限に抑えることができる。彼はさらに、グリーンランドが自然界のスケールと力を真に実感できる、数少ない場所の一つであると付け加える。人々の歩みをゆるめ、視野を変える素晴らしい力がそこにはある。ダゴスティーノはこう続ける。「多くの旅行者にとって、巨大な氷河やクジラを見るだけでなく、静寂や広大な空間、そしてほとんど手つかずの場所を探索しているという感覚自体が重要だ。それはますます希少になっており、グリーンランドが訪れる人々に強い印象を残す理由の一つとなっている。関心が高まり続ける中、観光業が思慮深く発展していくことが重要だ」

グリーンランドの近さとアクセスのしやすさ

「北極圏は実に刺激的であり、グリーンランドは近さとアクセスのしやすさという観点から、旅行者にとって非常に興味深い目的地だ」と、旅行アドバイザーで「Let's Go Globetrotting」の創設者であるアンジェラ・ディランゾは語る。「氷河や流氷が環境の一部であり、現地の人々と密接に交流でき、かつ北米やヨーロッパの旅行者にとってアクセスしやすい目的地は、世界でもほとんどない」。彼女は、探検クルーズに馴染みのない人々にとって、それがグリーンランドに到達するための優れた方法であると指摘する。「探検クルーズは、一般的なクルーズとは全く異なる」とディランゾは言う。「ゲストと探検スタッフからなる、小型船ならではのコミュニティだ。船上では教育的なレクチャーもしばしば行われる。流氷の可能性があるため、これらの船の多くは砕氷機能やスタビライザーなど、過酷な環境を航行するための装備を備えており、上陸には通常の港湾到着ではなく、ゾディアックボートが使われることが多い」

大量の観光客が押し寄せる前にグリーンランドを訪れる

人々は、観光客で溢れかえる前にその土地を訪れ、本物の体験をしたいと願っている。「旅行者たちは、お世辞抜きの本音で語ってくれる地元の人々やガイドと対話している。質問すれば、たとえそれが物議を醸すような質問であっても、率直な答えが返ってくる」と、旅行アドバイザーである「Terry the Travel Guy」のテリー・ホーキンスは語る。「考古学の観点からも、グリーンランドでは今でも発見が続いており、すべてが調査し尽くされたわけではない。まるで本物のインディ・ジョーンズの世界のようだ。エジプトのピラミッドのように、世界中には何百万人もの人々が目にしてきた遺跡があるが、グリーンランドでは、極めて限られた人しか見たことのないものを目にし、体験することができる。どんなに小さな形であれ、その一部になれることは素晴らしいことだ」

ホーキンスもまた、探検クルーズがグリーンランドを本当に知るための最善の方法の一つであると考えている。大型船では行けない場所に行けるだけでなく、探検クルーズの最大のメリットの一つは、人とのつながりだ。「大型船に乗っている場合、3、4人の人とつながりを持てれば幸運だ。しかし、オーシャン・ノバ号でグリーンランド沿岸を航行するアドベンチャー・カナダの『バイキングの足跡をたどって(In the Wake of Vikings)』のような探検クルーズでは、出会わない人の方が少ない。それほどアットホームなのだ」。他のゲストと深くつながるだけでなく、探検チーム、乗組員、そしてガイドとの間にも緊密な絆が生まれる。

クルーズを専門とするホーキンスは、アドベンチャー・カナダのグリーンランド旅程の「秘訣」は、グリーンランドのイヌイットの専門家が乗船していることだと話す。「これらのイヌイットガイドは、会社とゲストの双方から、グリーンランドでの自らの経験や知識について語る正当な権威を与えられている。かつては、イヌイットのガイドが講義をしたり、歴史の一面を説明したりすると、乗客は白人のスタッフを振り返り、その説明が正しいかどうかの確認を求めたものだった。しかし、この船では、会社も乗客も、権威を本来あるべき場所、すなわち本物の専門家であるグリーンランドのイヌイットガイドに置いている」

グリーンランドにおけるイヌイットの視点

「グリーンランドへの興奮は高まっており、変化が大きくなりすぎる前に誰もが体験したいと思うようなニッチな目的地になっている」と、グリーンランドを拠点とするイヌイット文化ガイドのトゥパールナク・ソーリフセン・エゲデは言う。「人々は、ほとんどの人が見たことのないものを見るチャンスだと捉えている」。彼女は、地元のグリーンランドのイヌイットガイドを雇うことが重要だと指摘する。「グリーンランドは植民地化された歴史があるため、世に出回っている情報やデータの多くは異文化の視点から描かれており、誤解や誤った解釈が存在する」とエゲデは言う。「だからこそ、地元のイヌイットガイドに案内してもらい、環境と文化のつながりを説明してもらうことが本当に重要なのだ。その土地の人間、その環境に根ざした人間が案内してくれることが、大きな違いを生む」

グリーンランドは、観光業をゆっくりと責任を持って成長させたいと考えている。鍵となるのは、現地のイヌイットの人々がその中心的な役割を担うようにすることだ。「現地のイヌイットガイドは、訪問する各地域から地元の人々を雇用してくれるアドベンチャー・カナダのような会社と働くことを好む」とエゲデは話す。「それは私たちにとって非常に重要なことだ」

偏見のない柔軟な心でグリーンランドを訪れる

「文化的に、特にヨーロッパや西洋の文化とは大きく異なるため、旅行者は偏見のない柔軟な心で来るべきだ」とエゲデは言う。「多くの人々は、自分たちが考えるグリーンランドのイメージを持ってやってくる。大切なのは、オープンな心を持ち、特に現地の人々にたくさんの質問をすることだ」

グリーンランドの観光において高まるイヌイットの役割

「私たちの視点を示すことは非常に重要だ」と、考古学者であり歴史家、そしてイヌイット文化教育者でもあるアカ・シモンセンは語る。「イヌイットとして、対話に加わり、私たちの視点を示すことが重要なのだ」。彼女は、人々が初めてグリーンランドに来るとき、誰もが氷床や気候変動、鉱物について語るが、実際に訪れると、イヌイットの人々と交流し、口承や彼らの祖先がどのように暮らしていたかを学ぶことになると指摘する。

シモンセンは、15年前にこの分野で仕事を始めて以来、観光業に大きな変化があったと指摘する。「当時、私が仕事に応募したとき、彼らはグリーンランド人を求めていないと言った。今ではクルーズ船において、イヌイットの文化ガイドに対する需要がある。かつては航海中にイヌイットが私一人だけということもあったが、今ではアドベンチャー・カナダのような一部の会社では、異なるスタッフの役割に複数のイヌイットが就いていることも珍しくない」

グリーンランドの辺境をクルーズする

「グリーンランド人である私でさえ、南西部に住んでいるため、南東部や北東部にはアクセスできない。だから旅行者が島のそうした場所を見られるというのは、本当に驚くべきことだ」とシモンセンは言う。彼女は、東グリーンランドへのアクセスが困難であることを説明する。グリーンランド国内を移動するのは難しく、コミュニティ同士は道路でつながっておらず、国内線を小さな飛行機やヘリコプターが飛んでいるものの、強風や霧などの天候により遅延することがある。最善の移動手段は船だ。

また、探検クルーズ船で旅行すると、大自然の中をハイキングしたり、ゾディアックボートで氷山や氷河を巡ったりできるだけでなく、様々な規模の町を訪れて、人々がどのように暮らしているかを実際に目にすることができる。首都ヌークは「ミニ・デンマーク」と呼ばれることもあるため、旅行者はより小さなコミュニティや農場を訪れ、文化やグリーンランド人の暮らしぶりを目にすることが重要だ。

イヌイットの視点からグリーンランドを見る

「イヌイットとして、静寂を楽しむことは私たちの生活の大きな部分を占めており、クルーズ船の乗客もここを訪れると、そのことを理解し、価値を認め始めると思う」とシモンセンは言う。彼らは、つながりを感じるために毎分誰かと話す必要はない。自然の中をハイキングし、鳥のさえずりを聞き、滝を見ることでつながることができる。景色は非常に広大で、ただその一部になるだけで、つながりを感じられる。

探検クルーズの秘訣

「昨年このグリーンランド・ルートを実施した際、アドベンチャー・カナダのチームの一員としてグリーンランドの元首相に乗船してもらい、レクチャーを行ったりゲストと語り合ったりした」と、アドベンチャー・カナダの探検リーダーであるジョン・ブライスは語る。「彼女は私たちが陸上にいるときに地元の人々とも交流しており、誰にとっても素晴らしい体験となった」。彼は、探検クルーズとは、実際に体験してみるまでは理解されにくいものの、一度体験すると病みつきになるものの一つであり、それがアドベンチャー・カナダのリピーター率がこれほど高い理由だと説明する。

人々がグリーンランドについて最も驚くこと

「人々は北極圏を空っぽな場所だと思いがちだが、広大な手つかずの大自然を旅していても、北極圏は空っぽの場所ではない」とブライスは言う。「何千年も前から人々が暮らしてきた非常に豊かな文化的景観があり、私たちはまだそれを見る方法を知らないだけだ。グリーンランドへの旅は、目の前に大都市がないからといって、その景色が空っぽであることを意味しないと知るための学びなのだ」

変化してしまう前にグリーンランドを旅行する

「過去10年間グリーンランドを旅してきたが、観光業、特に船舶の往来が増加しているのを確かに感じている」と、アドベンチャー・カナダの探検リーダーであるダン・フリーズは語る。「氷河は大きく変化し、後退し、融解しているため、人々はここに来てそれを見ようとしている」。そして、ぜひ見るべきだとフリーズは言う。「ここは体験するのに素晴らしく美しい野生の目的地であり、地元の人々と出会い、学び、考古学に触れる場所だ。グリーンランドの大部分には目印となる木がないため、距離やスケールを判断する感覚を失い、景色はさらに大きく広大に見える。それは畏敬の念を抱かせるものであり、素晴らしいことだ」

人々がグリーンランドについて最も驚くこと
「遺跡の多さだ。基本的に私たちが上陸するすべての場所には遺跡があり、私たちにとっては非常に過酷に思えるこれらすべての場所に人間の歴史の証拠を見ることは、本当に人々を驚かせる」とフリーズは語る。それは、人々はどのようにして暖をとったのか、どのように食料を狩ったのか、どのような生活を送っていたのかといった、多くの好奇心をかき立てる。「私たちの船は『洋上の大学』となる。それぞれの分野の専門家による講義があり、乗客は学んだばかりのものを実際に見に出かける。そして、全員が船に戻ってから復習が行われる。教育プログラムと、私たちが目にしているものとのつながりが、この場所全体を真に生き生きとしたものにする」

「私は30年近くグリーンランドを旅してきたが、ついにその名声が高まり、多くの注目を集める時が来たのだと感じている。しかし、ここは常に傑出した目的地であり、人々がもっと早く気づくべきだった場所だ」と、アドベンチャー・カナダのマネージングディレクター兼共同オーナーであるMJ・スワンは語る。彼は、グリーンランドが広大な景観、巨大な氷河や氷山、そして本格的なハイキングやシーカヤックのエクスカージョンができる機会があるだけでなく、グリーンランド人が持つイヌイットの文化とコミュニティの素晴らしい融合があるため、優れた探検の目的地なのだと説明する。「彼らは自分たちの故郷や文化にとても情熱を持っており、温かく迎え入れてくれ、自分たちの文化を共有し、積極的に関わろうとしてくれる。その温かさと歓迎される雰囲気が、まさに探検スタイルにぴったりであり、長期滞在したくなるような場所にさせてくれるのだ」

彼は、アドベンチャー・カナダの責任は、旅行者と旅行先との間のファシリテーター(橋渡し役)になることだと説明する。「私たちの目的はつながりを確立することであり、旅行者が自然、野生動物、探検チーム、他の旅行者、そして地元のイヌイットであるグリーンランド人とつながることを望んでいる」とスワンは言う。彼は、より多くの人々が目的や意味を持った旅行を望み、自分が訪れる場所に与える影響を意識するようになっていると指摘する。「誰と一緒に旅行するか、なぜその目的地に行くのか、そして最終的にその体験から何を得ようとしているのかについて、より多くの人々が思慮深いアプローチをとっていることは、非常に刺激的であり、心強いことだと感じている」

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事