この夏、夜空で観測の好機を迎えている彗星があるのをご存じだろうか。「テンペル第2彗星(10P/Tempel 2)」は今、ちょうど内太陽系に戻ってきており、彗星の特徴の中でもひときわ珍しい眺めを私たちに見せてくれている。それは何世紀にもわたって太陽の周りを回っている彗星が、その旅路の途中で落としていく塵や破片でできた帯だ。
テンペル第2彗星とは
1873年7月4日に発見されたテンペル第2彗星は、直径10.6kmと推定され、有名なハレー彗星とほぼ同じ大きさとみられている。公転周期は5.4年。現在はやぎ座に位置し、双眼鏡や小型望遠鏡で見ることができる。
8月2日に太陽に最も近づく「近日点」を通過し、翌3日に地球に最接近するため、前後数週間にわたって観測可能だ。
観測に適した場所と時間帯は?
米航空宇宙局(NASA)によると、テンペル第2彗星は肉眼ではっきり見えるほど明るくはならないが、双眼鏡や小型望遠鏡を使えば観測できる。街明かりから離れた暗い夜空の下で観測に臨むことをNASAは推奨している。
空が完全に暗くなってから、やぎ座をまず見つけよう。その近くに、ぼんやりとした小さな光を探してみよう。観測条件が良ければ、短く幅の広い扇形の尾も見えるかもしれない。肉眼での観測は難しいため、双眼鏡や小型望遠鏡が必要だ。
(編集部より:In-The-Sky.orgでは日本各地からの毎晩の見え方など観測に便利な情報を確認できる)
なお、はるか昔の彗星の置き土産である塵の帯「ダストトレイル」を確認するには、長時間露光での天体写真撮影が必要となる。
彗星のダストトレイルとは?
宇宙天気情報サイトSpaceWeather.comによれば、テンペル第2彗星は現在、細く薄く伸びた塵の層にまるで貫かれたように見えており、その姿は土星の環を横から見たときを彷彿とさせる。今月10日に米アリゾナ州からこの彗星を撮影したベテラン天体写真家クリス・シューアは「50年間に及ぶ撮影人生で見た中でも、最も鮮明なダストトレイルだ」と語った。
NASAの「今日の天体写真(APOD)」の解説文によると、この塵の層は、はるか昔からこれまで無数に繰り返されてきた彗星の公転の過程で軌道面に残された塵の大きな粒子の軌跡である。太陽に熱せられることで放出されるガスや塵でできた彗星の尾とは異なり、ダストトレイルは彗星の軌道に沿って帯状に伸びている。
このような写真が撮影されたのは偶然ではない。7月18日から22日にかけて地球はテンペル第2彗星の軌道面を横切るため、ダストトレイルをほぼ真横から捉える角度になっている。このため、塵の帯が通常よりも細く、明るく見えているのだ。地球から見たダストトレイルの姿は、今後数日間でまた徐々に幅が広がっていく。



