人々の内面に訴えかけ、感動を呼び起こす―それが真のラグジュアリーブランドがもたらす稀有な体験だ。ティファニーのCEOが語るエモーショナルな戦略は、ここ日本の旗艦店で見事に結実した。
世界でラグジュアリーブランドと評されるブランドは、決して多くない。その大半が日本を有望なマーケットととらえ、現在では日本進出を果たしているが、その先駆けとして1972年に直営ストアをオープンさせたのが、米国の老舗ジュエラーであるティファニーだ。それから半世紀以上が経過した2025年7月11日には、アジア最大の旗艦店となる「ティファニー 銀座」をオープン。ティファニーにとって日本が、今も重要な存在であることがうかがえた。それはなぜなのか。同店のオープン1周年に合わせて来日した、ティファニー社長兼CEOアンソニー・ルドリュに聞いた。
長い歴史を歩んできた日本との絆
「日本はティファニーにとって常に重要な市場であり、現在も我々の成長戦略の中心に位置しています。日本との関係は100年以上前に始まり、東京におけるリテール展開も半世紀以上の歴史を築いてきました。
我々は長年、そんな日本のカスタマーがラグジュアリーに対して寄せる思慮深い価値観に、敬意を抱いてきたのです。それは意味や歴史に加え、永続的な価値を備えるものを重視する姿勢です。それは約190年にわたり卓越した芸術性を追求し、世代を超えて受け継がれるタイムレスなプロダクトを生み出してきた、我々の価値観と深い部分で一致しているのです。
そんな日本国内におけるプレゼンスを、慎重かつ着実に拡大していくことに注力しています。日本は事業成長の観点に限らず、アジアのラグジュアリー市場における我々のポジションをさらに強化するうえでも、非常に重要な役割を担っているのです」
日本のマーケットに対し、こう語るルドリュCEO。日本とティファニーの絆には長い歴史があり、その始まりは19世紀にまで遡さかのぼる。1870年には日本製品を自社カタログ「ブルー ブック」で紹介。また創業者の息子であるデザイナーのルイス・コンフォート・ティファニーは、ジャポニズムの影響を受け、自然の造形物に着想を得たテーブルランプやステンドグラスなどを制作。そうした日本との深いつながりを次世代へと受け継ぐのがティファニー銀座なのだ。



