「最高の状態」を測る2つのモデル
この最も重要な研究結果を特定の計算式の産物ではなく、真に説得力のあるものとしているのは、研究者たちが2つの異なるモデルで検証し、どちらの場合も実質的に同じ結論に達したという点だ。
1つめの従来型のモデルでは、心理学においてこれまで成功を最もよく予測する要素とされてきた中核的な性格特性より従来の知能検査により比重を置いている。その結果、20代から30代にかけて緩やかに上昇し、60歳近くでピークに達するまで急激な上昇を示し、その後、サンプル内の最年長の人のスコアが最年少の人を大幅に下回るほど著しい低下が見られた。
2つめの包括的なモデルでは、感情知能や金融リテラシー、道徳的推論、認知的柔軟性など、よりゆっくり成熟する能力にかなりの比重が置かれた。このモデルでも50代後半から60歳頃にピークが現れた。そして、65歳以降の低下はかなり急だが、両アプローチの終点では大きく分岐した。つまり、調査対象の中で最年長の人と最年少の人の総合スコアはほぼ同じ水準だったものの、そこに至るまでの道筋は全く異なっていた。一方はスピードと純粋な処理能力に依存し、もう一方は判断力や蓄積された知恵、そして情緒の安定性に支えられていた。
どちらの道筋が「正しい」ということではない。この研究の真の意義は、「人はいつピークを迎えるのか」という問いへの答えが、どの要素を最も重視するかによって大きく変わることを示した点にある。
現実世界での「最高の状態」とは
研究論文の著者たちはこのパターンを説明するだけでなく、具体的な事象とも結びつけている。著者たちの指標で示された50代後半のピークは、幅広い職種にわたる人々が最高の収入や最高位の役職、そして最高の職業的地位に到達する傾向がある年齢層とほぼ一致している。


