気候・環境

2026.07.23 10:30

過去最高21.0度、海の熱がエルニーニョ現象を激甚化させる理由

stock.adobe.com

私たちはすでにコストも見返りも知っている

投資家にとって、この物語はここで金融の話に変わる。経済協力開発機構(OECD)によると、海は世界の国内総生産(GDP)の3%以上を支え、約30億人に食料を供給している。それを崩壊させることにコストがかからないわけではない。日本を含む14カ国の国家元首によって設立された「持続可能な海洋経済のためのハイレベル・パネル(Ocean Panel)」は、現在の道を進み続ければ2050年までに8兆ドル(約1300兆円)を超えるコストが生じる可能性があると推計している。同パネルは別の選択肢にも数字を示しており、それは驚くほど明確だ。世界資源研究所(WRI)が同パネルの作業で明らかにしたところによると、健全な海洋に関するプロジェクトへ投じられる1ドル(約162円)の投資ごとに、少なくとも5ドル(約812円)のリターンを生む。通常の投資の多くが及ばないリターンである。それにもかかわらず、海は依然として、世界の大きな目標の中で最も資金が集まらないものの1つだ。資金が遠ざかっているのはリターンが悪いからではない。リスクが誤って価格づけされ、貸借対照表上の項目ではなく環境問題の脚注として扱われてきたからである。記録を次々と破る海は、この状態が長くは続かないというシグナルだ。

advertisement

海は静かに私たちの借りを支払ってきた。いま、その返済を求めている

何十年ものあいだ、海は私たちに見えない熱を吸収し、見返りを求めなかった。それは決して贈り物ではなかった。猶予だったのだ。

この夏、海で記録的な高温が起きていることは、その猶予が尽きつつあるということだ。それは強まりつつあるエルニーニョとして、より激しい秋雨と深刻な干ばつとして、白化したサンゴ礁、移動する魚、そして今年より来年の方が更新される可能性の高い暑さの記録として返ってきている。目をそらしても、海を冷やすことはできない。そして、海がすでに背負っている以上のものを、私たちは求めることはできない。

海は私たちに時間を買ってくれた。いま私たちが何をするかが、その時間が無駄だったかどうかを決める。

advertisement

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事