私たちは、次に加える熱をまだ制御できる
すべては、私たちがなお制御できる1つの数字に行き着く。止まるまでに、どれだけ多くの熱をさらに加えるのか、である。温室効果ガス排出が実質ゼロ(ネットゼロ)に達するまで、海は温まり続ける。それが、何をしなければならないかの順序を決める。
第一に、熱を加えるのを止めることだ。化石燃料由来の排出削減こそが進路を変える唯一の手段である。そして良いニュースは、資金はすでに動いているということだ。クリーンエネルギーは現在、化石燃料のほぼ2倍の投資を毎年集めている。
第二に、メタンとその他の短寿命気候汚染物質を削減することだ。それらは二酸化炭素よりはるかに速く大気から消えるため、それらを削減することは短期的に温暖化を鈍らせる最も速い方法である。迅速に実施すれば、これらの削減により今世紀半ばまでに最大で約0.5度の温暖化を回避できる可能性がある。世界が化石燃料排出を終わらせるという、より困難な作業を完了する間、人々、生態系、そして海のための時間を稼ぐことになる。
その第一歩の中には、落とし穴が埋まっている。化石燃料を燃やすと、太陽光を反射して地球を冷やす硫酸塩粒子も放出される。IPCCは、この汚れた傘が約0.4度の温暖化を隠してきたと見積もっている。その汚染を浄化することは、毎年何百万人もの命を奪っている以上、私たちがしなければならないことだが、それにより隠れていた熱の一部が表に出る。海はすでにそれを感じている。2020年の規制で船舶燃料中の硫黄分が約80%削減された後、NASAの衛星は、最も交通量の多い航路上に見られる反射性の「航跡雲(シップトラック)」が急減したことを捉えた。一部の研究は、これらのエアロゾルが突然失われたことが、2023年の記録の背景にある海洋温暖化の加速に寄与した可能性を示している。解決策は大気を汚れたままにしておくことではない。大気を浄化することは、メタンの迅速な削減をより緊急にするのであって、重要性を下げるものではない。そうしなければ、私たちは下にある熱源を弱めるより速く、傘をはぎ取ることになる。
残る課題は、すでに固定された熱が巡るあいだのレジリエンス(回復力)である。炭素を蓄え沿岸を守るマングローブ、海草藻場、塩性湿地といった「ブルーカーボン」生息地を保護し、再生すること。海洋生物が熱に対処する力を弱める乱獲、汚染、生息地の喪失を軽減すること。そして、漁船団や沿岸の町に数週間前の警告を与えられるようになった海洋熱波予報に資金を投じることだ。


