問題が起こりそうな地域は容易に推測できる。湿潤側では、強いエルニーニョは米国西海岸に強力な嵐と「大気の川(アトモスフェリック・リバー)」をもたらす傾向がある。気候科学者のダニエル・スウェイン(Daniel Swain)は、2026年から2027年にかけての冬は、カリフォルニアに洪水をもたらした年のような形になりつつあり、早ければこの秋にも熱帯低気圧が進路を曲げ、干ばつに苦しむ南西部へ向かう現実的な可能性があると書いている。乾燥側では、オーストラリア、アマゾン、アフリカの一部でのシグナルが、地上では同じことを意味する。貯水池の水位低下、水力発電用の水の減少、農産物の収穫不振、そしていつでも燃え広がる準備のできた森林である。ハリケーンへの影響は二方向に分かれがちだ。エルニーニョは通常、強い風によって大西洋の嵐を引き裂くため、NOAAは大西洋のハリケーンシーズンは比較的静かになると予想している。一方で同じ条件が、中部および東部太平洋ではより強いハリケーンをつくり出す可能性がある。
この見方を現実的なものにしている要素が2つあり、そのうち2つ目が懸念材料である。エルニーニョは確率を動かすだけで、個別の結果を約束するものではない。そして、あらゆる予測は過去のエルニーニョがどう振る舞ったかに基づいているが、これほど高温の海で発生したエルニーニョは過去に存在しない。この前例のない状況に対し、過去の経験やデータに基づく単純な予測は通用しない。コペルニクス気候変動サービスの責任者カルロ・ブオンテンポ(Carlo Buontempo)は、現在の状況を「未知の領域」と呼ぶ。最も確実な見方は、このエルニーニョが前回の強いエルニーニョと同じように振る舞うということではなく、私たちが十分に備えていない形で猛威を振るうということだ。そしてエルニーニョの影響は終盤に最も強まるため、世界の暑さの記録が更新される可能性は、2026年よりも2027年の方が高い。


