さらにロシアは、飛行途中で操縦士が遠隔操作することも可能なタイプのゲラニも導入している。自律的に飛行する従来型と異なり、このタイプのゲラニは脅威に応じて機動したり、飛行経路を変更したり、防空網に遭遇した際に回避行動を取ったりできる。こうした長距離の制御を維持するには、強固な通信リンクが必要になる。初期型では、米スペースXのStarlink(スターリンク)衛星通信網の端末に依存していたが、より新しいタイプでは代わりに、機体に搭載した無線中継装置や中継ドローンを利用し、制御可能な距離を延ばしているとされる。
新型ゲラニには、より高性能なセンサー類も搭載されるようになっている。たとえば電子光学カメラ(EOカメラ)は、操縦士や機体搭載システムが接近してくる迎撃ドローンを探知したり、ウクライナ軍の防空陣地を特定したりできる。これにより、ドローンは回避機動を行ったり、後続の攻撃パッケージに目標情報を提供したりすることが可能になる。さらに、「シーカー」型と呼ばれるタイプのゲラニは、目標地域に到達後、移動する目標を捕捉・追尾する能力を備えている。これらのドローンは衛星航法だけではなく、機体に搭載されたセンサーも利用するため、電磁波干渉による妨害の激しい環境でも有効性を維持することができる。
タイプごとの役割分担
この1カ月ほどの間に、ロシアはゲラニの運用方法を変更したと報じられている。これまでのように、同一のドローン(編集注:ただし主におとり用の「ゲルベラ」なども混ぜられている)を大量に投入し、数に任せて防空網の圧倒を図るというやり方ではなく、ゲラニのタイプごとに異なる種類の任務を割り当てるというシステムレベルの運用に切り替えつつある。
従来の運用方法では、実際に目標に到達できるゲラニの数は比較的少なくなり、ウクライナはその迎撃に高価なリソースを費やすこともなくなっていた。その結果、ドローンによる大規模な一斉攻撃は、もともと意図していた目的を達成できなくなった。加えて、新型ゲラニは入手できる数に限りがある高度な電子機器やその他のパーツを必要とするため、それを大規模な攻撃で消耗することはリソースの活用という点でも効率が悪くなっていた。
新たな運用方法では、各タイプのゲラニに、それぞれに適した任務を割り当てることが重視されるようになっている。ピストンエンジン搭載の従来型ゲラニ-2は、国境近くの都市など前線地域の目標に対する攻撃に引き続き使用されている。ロシア軍はこれらの地域の兵站施設や燃料貯蔵庫、倉庫、電力インフラ、列車・車列といった作戦上重要な目標に対し、ゲラニ-2を1日につき約200機発射していると報告されている。これらのゲラニ-2は通常、調整攻撃の一部として運用され、メッシュネットワークを介して相互に情報を共有し、データを中継する。これにより、衛星航法への依存度が低下し、攻撃パッケージはウクライナの電子戦に対する耐性を大幅に高めている。


