【重要】会員機能一時停止とサイトメンテナンスのお知らせ

欧州

2026.07.21 07:00

ロシアがシャヘド無人機の運用法を適応 従来型は前線飽和、ジェット型は深部打撃に役割分担

ウクライナ北東部ハルキウ市で2026年4月2日、ロシアのドローン(無人機)攻撃によって被害を受けた集合住宅で消火活動を行う消防士。使用されたジェット推進の「ゲラニ-3」はロシア国境からハルキウまで70秒で到達する(Miia Kliushnykova/Gwara Media/Global Images Ukraine via Getty Images)

ウクライナの電子戦ネットワークを回避できたゲラニも、運動エネルギー型の多層防空システムをさらに突破しなければならない。長射程の地対空ミサイル(SAM)は通常、より高価値の目標への対処用に温存されるので、ゲラニへの対処は主に短・中射程の防空システムが担う。それにはゲパルト自走対空砲や、NASAMS、IRIS-T、アベンジャーといったSAM、その他、各種対空砲や重機関銃が含まれる。ウクライナはこのほか戦闘機やヘリコプターも投入し、ゲラニが飛来すると見込まれる経路の上空を哨戒させ、迎撃させている。

advertisement

最近はさらに、ワイルド・ホーネッツ社の「STING(スティング)」のような迎撃専用ドローンがウクライナの防空体制の重要な構成要素になっている。ウクライナはこうした迎撃ドローンを多数生産するようになっており、ゲラニに対して大規模に投入することが可能になっている。迎撃ドローンの価格は1機あたり2000ドル(約32万円)程度とされ、1機約2万5000ドル(約410万円)とされる基本型ゲラニよりもはるかに低コストである。しかも、より新しいタイプのゲラニは基本型よりもかなり高額になっている。

ウクライナは十分な数の迎撃ドローンやその他の防空手段により、飛来するゲラニの92~96%を目標到達前に落とすことができていると伝えられる。ウクライナはこうして、ゲラニを有効性の高い兵器にしていた理由であるその経済的優位性をおおむね無効化した。その結果、ロシアはドローンの数に物を言わせて防空網を圧倒するという運用方法を続けることがだんだんと難しくなり、見直しを強いられた。

新型ゲラニとその特徴

ウクライナの防空網が拡充されたことに対応して、ロシアは複数の改良型ゲラニを投入している。とりわけ注目されるのは、ジェットエンジンを搭載した「ゲラニ3」と「ゲラニ4」の配備を増やしていることである。これらのドローンの速度は、モデルによっても異なるものの、時速300~500kmに達する。ピストンエンジンのゲラニ-2と同程度の重量の弾頭を搭載しながら、大幅な高速化を実現している。

advertisement

高速化によって、ウクライナの防空システムが迎撃できる時間的余裕は短くなり、迎撃ドローンによる撃墜も大幅に難しくなる。また、これらの新型ゲラニはより高い高度を巡航するため、迎撃はさらに複雑になり、一部の地上配備型防空システムの有効性も低下する。

次ページ > 各タイプの特性に応じて役割を分担させる運用法にシフト

翻訳・編集=江戸伸禎

2026年8月号発売中

最新号の購入はこちらから

2026年8月号発売中

最新号の購入はこちらから

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事