サイエンス

2026.07.29 18:00

耳垢でストレス度や難病発見の可能性も 人間に耳垢がある理由と意外なその機能

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また、蓄積した耳垢そのものも、想像されるより大きな臨床上の問題の原因となる。2017年に『Otolaryngology - Head and Neck Surgery』に掲載された臨床ガイドラインによると、耳垢の過剰な堆積や耳垢栓塞は、回復可能な難聴の最も一般的かつ見過ごされがちな原因の一つだという。これは特に、高齢者や、補聴器をつけている人のあいだで顕著だ。耳垢が通常の自浄作用で排出されず、補聴器の周りにたまってしまうからだ。耳垢を除去するだけで、完全な聴力を取り戻すことができるにもかかわらず、誤って年齢による聴力減退と診断されてしまうケースが頻繁に見られる。

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最近になって、耳垢が、ストレスの度合いを示すバイオマーカー(生体指標)になる可能性についても研究が始まっている。「ストレスホルモン」と呼ばれるコルチゾールの濃度は、1日のなかで上下動が激しいため、血液や唾液から経時的変化を信頼度の高い形で測定することは、非常に難しいことが知られてきた。毛髪をサンプルに使う方法は有効だが、かなりの量を必要とする上、活用可能なシグナルとなるほどの量が蓄積するには数週間を要する。

そんななか、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)とキングス・カレッジ・ロンドン(KCL)の合同チームが、毛髪の代わりに耳垢から直接コルチゾールを抽出する方法を試験的に開始した。2020年に『Heliyon』に掲載された論文によると、この方法であれば、より少量、かつ時間をかけずに集められるサンプルによって、より安定した長期的な分析が可能になったという。

これはまだ初期段階の研究だが、将来的には、慢性的なストレスや、コルチゾールが過剰に分泌されるクッシング症候群などの病状を追跡する上で、有力なツールとなる可能性がある。

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これまで書いてきたように、耳垢には意外な機能があり、役に立つ情報も備えている。だからといって、耳垢が愉快な存在になるわけではないが、それでも耳垢は、些細で見過ごされがちな人体の副産物が、実は一般的なイメージ以上の機能を果たしており、多くの情報を提供していることがわかる好例と言えるだろう。

forbes.com 原文

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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