セルフケアは、高額なウェルネスリトリートや手の込んだモーニングルーティン、1時間に及ぶ瞑想などを伴う、一大産業へと発展した。しかし、大半の働く大人にとって、こうした理想化された儀式は、未処理のメール、介護や育児などの負担、締め切り、そして単純に1日の時間が足りないという現実の壁にぶつかってしまう。
実際、最高のパフォーマンスを追い求めて複数のメンタルヘルス・ウェルネスプロトコルを同時に積み重ねる「ウェルネス・マクシング(過剰なウェルネス追求)」のトレンドは、ウェルネスをやりすぎていると一部の専門家は指摘する。そして、それは皮肉にも、実現しようとしているバランスそのものを損なっている。
皮肉なことに、セルフケアを実践しなければならないというプレッシャー自体が、新たなストレス要因になり得る。慢性的なストレスが燃え尽き症候群や生産性の低下、身体的・精神的健康の悪化を招くことは、これまでの研究で一貫して示されている。それにもかかわらず、多くの人がセルフケアには多大な時間とエネルギーの投資が必要だと思い込み、完全に諦めてしまっている。
アートセラピストであり、クリエイティブ・ウェルネスのプラットフォーム「Davincified(ダヴィンチファイド)」の創設者であるエレニ・ニコラウ博士(Dr. Eleni Nicolaou)によれば、それは誤った捉え方だという。「セルフケアは、何かを『増やす』ことと結びつけられるようになってしまった」とニコラウは指摘する。「しかし、忙しい人々にとって、1日の中にまた別の大きな儀式を加えることは解決策にならない。本当の価値は、最も過酷な日にさえ、誰もが取り入れることのできる、小さく一貫した瞬間の中にある」
勤務中にできる、手軽な7つのセルフケア習慣
筆者は過去に、キャリアで成功するための足場として日々のルーティンの重要性を論じた。実際に、科学もその見解を支持している。行動科学の研究者たちは、一貫して行われる小さな習慣は、高いモチベーションを必要とする野心的なルーティンよりも持続可能であることを古くから見出している。毎日繰り返される小さな行動は、やがて自動化され、劇的なライフスタイルの刷新よりもはるかに維持しやすくなる。
毎日さらに1時間を捻出する方法を問うよりも、次の問いを立てる方が賢明かもしれない。「神経系をリセットするために、5分間で何ができるか」。ニコラウが推奨する、科学的根拠に基づく7つの実践法を紹介する。
1. 5分間の静寂を自分に与える
多くの人は、メッセージやメール、SNSの通知を同時にチェックしながら、次の会議へと次々に移動している。これでは脳が休まる暇がない。隙間時間があるたびにスマートフォンに手を伸ばすのではなく、5〜10分間静かに座ったり、窓の外を眺めたり、ただ心を落ち着かせたりすることをニコラウは推奨している。
「脳が情報を処理し、回復するためにはダウンタイムが必要だ」とニコラウは説明する。「わずか数分間の静寂でも効果はある」。神経科学者たちの研究によると、覚醒時の休息時間は、脳が記憶を定着させ、情報を処理し、持続的な注意力から回復するのを助けるという。



