2025年11月、ジャーナリストのタティアナ・シュロスバーグ(Tatiana Schlossberg)は、34歳で急性骨髄性白血病と診断されたことに関するエッセイを『ニューヨーカー(New Yorker)』誌に発表した。彼女は死の淵にありながらも、自身のストーリーを共有することを選択した。それは、さもなければ血液がんについて考えることもなかったであろう一般社会への、最後の贈り物だった。
私の組織では、そのエッセイの中に緊急の課題を見出した。シュロスバーグが開いた扉から、人々が答えを求めて入ってきていたのだ。月曜日までに、当団体のCEOはCNNに出演した。当団体のソーシャルメディアチームは、平易な言葉による解説を発信した。募金の呼びかけも、キャンペーンも行わず、ただ公共の利益に資する活動に徹した。
これこそが、ミッション主導の「社会的関連性(レレバンス)」のあり方だ。ブランドのアピールの瞬間ではなく、人間的な出来事への対応なのである。
誰も予測しない組織の「バブル」
現実を言えば、歴史のある組織のほとんどは、そこまでの域に達することはない。所属する人々が優秀ではないからではない。組織的なバブル(閉鎖的な環境)がゆっくりと形成され、完全に密閉されるまで誰も気づかないからだ。
現状維持に満足することには、隠れたリスクがある。あらゆる戦略計画は、資金調達、ボランティア、そして成長について言及している。しかし、より静かに忍び寄る脅威、すなわち「外の世界は動いているのに、組織がそれを見るのをやめてしまっている」という事実に言及しているものはほとんどない。社会との関連性を失うことは存亡の危機であるが、それが戦略計画の中で指摘されることは滅多にない。
それが起きると、肌で感じることができる。自組織が専門とするテーマについてニュースが駆け巡ったとき、最初の本能が「コンテンツカレンダーを確認し、その瞬間を通常業務として処理する」ことである場合だ。社会的なトレンドが生じたとき、どのように対応すべきかを検討するワークショップを行っているうちに、そのトレンドが去ってしまう。聞き覚えはないだろうか。バブルとは「私たちの」問題なのだ。それは目の前の業務に没頭した結果として自然に生じるものであり、歴史あるすべての組織がこの罠に陥る可能性がある。
指標となるのは「いいね」や「シェア」の数ではない。自組織の壁を越えて、真の議論を巻き起こしているかどうかだ。それまで関心を持っていなかった人々が、耳を傾け始めているだろうか。
社会の動きに「目覚めた状態」を保つ3つの方法
1. 「その瞬間」を読み解く
新型コロナウイルス感染症のパンデミック下で、免疫不全の人々が抱くワクチンの安全性に対する疑問を解決するために当団体が動いたとき、その境界線は明確だった。それは「プロモーションの機会」と「パブリックサービスの機会」の違いである。問いは「これで自分たちにどんなメリットがあるか」や「私たちは政治的になりすぎていないか」ではなかった。「患者が今、私たちに求めていることで、私たちにしか提供できないものは何か」だった。
この核心的な問いをシンプルにすることで、考えすぎてタイミングを逃してしまうという罠を避けることができる。
また、その枠組みを持つことで、自分たちに関係のない議論に飛び込むことも防げる。信頼できる専門知識、真摯な視点、そして議論を前進させる何か。それらが条件である。注目だけでは条件にならない。
2. 「その瞬間」を自ら作り出す
すべての機会が向こうからやってくるわけではない。10年前、私がガールスカウト米国連盟(Girl Scouts USA)に在籍していたとき、チームはあるアカデミー賞授賞式での機会を検討していた。司会はクリス・ロック(Chris Rock)で、彼の娘たちはガールスカウトのメンバーだった。授賞式の最中、レオナルド・ディカプリオやジェニファー・ローレンスなど、ハリウッドの著名人が多数出席する会場の観客に、ガールスカウトのクッキーが配られることになった。至る所にカメラがある状況だ。
交渉の余地のない条件がひとつあった。それは、クッキーを配るのは少女たち自身でなければならないということだった。ブランドアンバサダーでも、トレイを持った大人でもない。制服を着た本物のガールスカウトたちが、普段通りの活動をすることだった。
その瞬間の持つ意味のすべては、そのディテールに宿っていた。それがなければ、本物のストーリーは単なる演出に成り下がり、その違いは誰の目にも明らかだ。その瞬間は、本物であるがゆえの説得力に後押しされ、瞬く間に拡散した。
3. 他者を引き上げる
組織が見落としがちな行動は、自らのプラットフォームを利用して、まったく別の誰かを後押しすることだ。
白血病の幼い男の子が、治療前にポートを留置される様子を捉えたTikTokの動画が拡散された。男の子は怯えていたが、彼に付き添っていた腫瘍科の看護師の対応が素晴らしかった。最後に、男の子は見上げて「僕、すごく勇敢だね!」と言った。
その家族は私の組織とつながりがあったため、私たちはその動画をリポストした。自組織に関するコンテンツとしてではなく、腫瘍科の看護師たちと、治療に立ち向かう子どもたちの静かな勇気への賛辞としてだ。真実であり、かつ感動的であったため、動画は大反響を呼んだ。現在に至るまで、それは数百万回再生を記録し、当団体で最もパフォーマンスの高い投稿となっている。1年後に再投稿した際にも再び注目が集まり、さらに数百万回の再生回数を記録した。
当団体の名前はそこにあったが、主役ではなかった。そしてそれこそが、成功した理由そのものだった。人々が信頼するブランドを持っているのなら、それを使って、見る価値のあるものに光を当てるべきだ。
「イエス」と判断するための条件
これら3つのシナリオに共通して、いくつかの条件が浮かび上がる。「その瞬間」が、自組織のミッションに真に合致していること。ミッションに隣接しているとか、緩やかに関連しているということではなく、その核心でなければならない。また、ただ「対応可能だから」という理由ではなく、あなたがその瞬間にふさわしい代弁者でなければならない。そして、関与するための条件がその意味を薄めてはならない。これは時に、書類上は魅力的に見える機会であっても、見送るべきであることを意味する。
さらに、チームのあり方の問題もある。会議室にいる全員が同じように世界を見ているようでは、チャンスとなる瞬間を察知することはできない。だからこそ、私たちのソーシャルメディアチームは、ジェネレーションXからジェネレーションZまで多世代にわたり、異なる年齢、異なるネットワーク、そして「その瞬間が意味すること」に対する異なる直感を持っている。これは単なる人員配置の配慮ではない。ストーリーが目の前を通り過ぎてしまう前に、それを捉えるための方法なのだ。
常にアンテナを張る
社会の動きに常に目を光らせておくことは、単なるコミュニケーションの戦術ではない。それはリーダーシップの規律である。そして歴史ある組織にとって、それは特に重要な意味を持つ。なぜなら、これまでに築き上げてきた信頼は有限だからだ。人々があなたの発言に耳を傾けるのは、あなたの声が大きいからでも、賢いからでもない。信頼に値するだけの長い歴史を重ねてきたからだ。
シュロスバーグのエッセイは、何が本当に重要なのかを思い出させてくれる。彼女のような文章が世に出たとき、人々が求めているのはキャンペーンではない。彼らが求めているのは、その瞬間において、本物の誠実さと信頼をもって自分たちと向き合ってくれる存在なのだ。
私たちの道徳的責任の一部は、そこに姿を現すこと、注意深くあること、そして声を増幅させることだ。
週末が終わる前に準備を整えよ。「その瞬間」は月曜日まで待ってはくれない。



