テクノロジー分野の専門職は、AIによって脅かされる職種のリストで常に上位に挙げられる。だが皮肉なことに、企業が求めるAIシステムを構想し、構築し、運用するために必要なのは、まさにこうした人材である。
IT分野の失業率は依然として他の職種全体の平均より高く、5.1%対4.2%となっている。AIは、特にエントリーレベルでテック関連の機会を一部抑え込んでいる可能性がある。それでも熟練した人材は依然として必要だ。重要なのは、最新かつ最も注目を集める技術を実装することだけではなく、企業が何を求めているかである。
そうしたなか、フォワードデプロイドエンジニア(FDE)は、AI時代に強固な将来性を持つ新たな注目職種と見なされている。業界の識者のなかには、FDEに可能性を見いだす者もいれば、より広範な専門性を持つAIエンジニアに期待を寄せる者もいる。いずれにせよ、最も重要な役割は、事業とそのユーザーを前進させることのできる役割だ。
AWSは、FDEがAI推進を主導するという考えを強く打ち出し、10億ドル(約1620億円)の投資に支えられた専任のフォワードデプロイドエンジニアリング組織を発表した。数千人のエンジニアを顧客環境に組み込むことを意図したものだ。その狙いは、AIを現場に近づけ、顧客に実際の成果を届けることにある。
AIは「モデルの実験段階から実世界での導入段階へと」移行しつつある。「FDEはまさにその境界線上に位置する」と、デロイトの米国AI・エンジニアリング戦略・サービスリーダーであるファルク・ムラトヴィッチ氏は語る。「FDEは戦略的な協働者として、適切なソリューションを迅速に見極め、実効性のある業務へと変換することで、AIを構想から現実へと転換する役割を担う」
その強みは「深い技術的専門知識と、クライアントチームへの直接的な組み込みを両立させる点にある」とムラトヴィッチ氏は述べる。「ビジネス、テクノロジー、ガバナンスを橋渡しする必要性は今後も変わらない。FDEとしてこれらの領域を横断的に翻訳する能力は、今後も需要が続くだろう」
FDEの育成に莫大なリソースと数十億ドルが投じられるなか、業界を代表する思想家であり実践者でもあるアンドリュー・ング氏は、最近の投稿でFDEはAIエンジニアよりも活動範囲が限定的だと述べ、大きな議論を巻き起こした。
「AIエンジニアという道は、多くのプロフェッショナルにとってより長期的な選択肢の幅を提供する」と、Skillsoft Codecademy Enterpriseのバイスプレジデント、グレッグ・フラー氏は語る。「FDEは、クライアントの環境に入り込み、現実の制約の下で実際の課題を解決するという価値ある仕事をしている。それによって、強固なビジネス感覚とコミュニケーション能力が培われる。しかし同時に、自分の成長が特定ベンダーのエコシステムと、より限定的なユースケースに縛られることにもなる。そのベンダーの市場での立ち位置が変われば、自分の立ち位置も変わってしまう」
AIとビジネスの領域全体で、AIを活用して前進しようとする企業にとって、どちらの職種がより有益かをめぐる議論が巻き起こっている。おそらく両方の役割がAIの成功に不可欠なのだろう。「フォワードデプロイドエンジニアとAIエンジニアの議論は、二者択一の問題ではない」と、マイクロソフトのコアAIチームに所属するソフトウェアエンジニア、カルティク・コーサ氏は述べる。「両方の役割に価値があるが、AIの能力がより身近になるにつれて、フォワードデプロイドエンジニアリングの重要性は増している」
多くの人はAIシステム自体を構築することが難しい部分だと考えがちだが、「実際にはますます、顧客のワークフローを理解し、真の課題を特定し、AIソリューションを個別のビジネスニーズに適合させることの方が大きな課題となっている」とコーサ氏は続ける。「成功とは単一のAIエージェントを作ることではない。異なるチーム、技術スタック、要件に合わせてカスタマイズできるプラットフォームを構築することだ。そのためには、広範な協働、フィードバックの収集、そして課題の発見が必要となる」
FDEは組織が「AIの能力を測定可能なビジネス価値へと転換する」のを支援するとコーサ氏は述べる。「AIモデルがよりコモディティ化するにつれ、何を構築すべきか、そしてそれを顧客環境にどう統合すべきかを判断する能力が、大きな差別化要因になる。AIエンジニアは基盤となるシステムの開発を続ける一方、フォワードデプロイドエンジニアは導入、実装、顧客の成功を推進するうえで重要な役割を果たす」
どちらの役割も、技術スキルの先を見据えている。「最も速く成長するプロフェッショナルは、AIの出力を生成するだけでなく検証でき、批判的思考とビジネス文脈を持ち込める人材だ」とフラー氏は言う。「あまりにも多くのプロフェッショナルが、生産的に見えても負荷がかかると破綻する、表層的なAI理解の上に構築している」



