注意力を守ることについて語る時、たいていは同じ前提から始まる。集中力は中断によって阻害され、解決策は集中を妨げる可能性のあるものをすべて排除する習慣を身につけることだ、という考え方だ。通知は完全にブロックし、開いているタブは全て閉じ、着信のたびに振動するスマートフォンは「おやすみモード」にしておくという策が一般的だ。
この前提は理解できるものではあるものの、「デバイスは実際に使用されているときにだけ脳のリソースを奪う」という検証に値する仮定に基づいている。注意力と自己制御に関する研究ではこの仮定とは異なる見解が示されている。物は触れられたり、視線を向けられたり、ロックを解除されたりしなくても、そこに存在するだけで脳の限られた能力を消費するという考えだ。
これは何気ないことのように思えるという点で指摘する価値のある習慣だ。本当に集中を必要とする仕事をしようとしているときにスマホを手の届く場所、視界に入る場所、机の上、ポケットの中に置いてしまう。この習慣は明らかに気が散るもののように見えないため、ほとんどの人は見直そうとはしない。アプリを開いておらず、メッセージも読んでいない。それでも研究ではこの一見無害に見える状態が多くの人が認識している以上に持続的な注意力を損なっていることが示唆されている。
スマホを近くに置く習慣
専門誌『Journal of the Association for Consumer Research』に2017年に掲載された研究でこの疑問が直接検証された。米テキサス大学オースティン校で教えるマーケティング心理学者のエイドリアン・ウォードらの研究チームは、研究参加者に高度な認知課題をいくつか行ってもらった。それらは十分な成果を出すために脳のワーキングメモリを最大限に使う必要があるものだった。その際、参加者のスマホは目の前の机の上、ポケットやバッグの中、または別の部屋に置かれた。



