混沌を象徴する古代エジプトの蛇神の名を冠した地球近傍小惑星「アポフィス(99942 Apophis)」が、観測史上最も地球に接近する大型小惑星となるまであと1000日を切った。2029年4月13日、この小惑星は地球の上空わずか3万2000kmの距離を通過する。衝突の危険はないとされているが、この高度は気象衛星や放送衛星が周回する静止軌道よりも内側だ。地球上の複数の地域から肉眼でも見えるという。
これほどの大きさの天体がここまで地球に近づく現象は、5000年~1万年に1度しか起こらないとみられている。
日本からも見える、小惑星アポフィスとは
米航空宇宙局(NASA)によると、小惑星「(99942)アポフィス」の直径は約340mと推定される。これは仏パリの名所エッフェル塔の高さとほぼ同じで、小惑星全体の上位10%に入る大きさである。
アポフィスは大西洋の3万1200km上空、静止衛星よりも低いところを通過する予定だ。この大きさの小惑星としては観測史上、最も地球に接近することになる。
太陽を公転する周期は323.6日(0.89年)で、その軌道上で地球の公転軌道と交差する。そのため地球と衝突する危険性があるが、天文学的には少なくとも今後100年間はその心配はないという。
日食情報サイトEclipse Atlasによれば、オーストラリア、アジア、アフリカ、欧州の広域と南米東部の一部地域では、接近時に肉眼で観測できる。約7時間にわたる接近通過中、世界人口の約90%がこれを目撃できる見込みだ。
アポフィスの地球接近は、地球の重力が小惑星の軌道、自転、表面にどのような影響を与えるかを観測・研究するチャンスであり、天体衝突から地球を守るプラネタリーディフェンス(地球防衛)の取り組みに向けて貴重な知見が得られると期待されている。



