フレーバードジンはこの10年で大きな変貌を遂げた。かつては過度に甘く、目新しさを狙ったタイプが主流だったが、今日の優れたフレーバードジンは、卓越したベーススピリッツから始まり、厳選した果実、スパイス、ボタニカルを用いて、プレミアムジンを特徴づけるジュニパーやボタニカルの複雑さを覆い隠すのではなく、引き立てている。
英専門誌『The Spirits Business』が主催するグローバル・スピリッツ・マスターズは、こうした繊細なバランスを実現した銘柄を評価している。今年のマスター・メダル受賞銘柄は、緻密なフレーバーの統合が、いかに優雅さ、汎用性、奥行きに優れたスピリッツを生み出し得るかを示している。以下では、最高評価を得たフレーバードジンの概要と、筆者のテイスティングノートを紹介する。
プリマス・スロー・ジン、アルコール度数26%、700ml マスター・メダル受賞
プリマス・スロー・ジンは、世界のスロージンにおける基準の1つであり、その系譜は何世紀にもさかのぼる英国の伝統に根ざしている。クラシックなプリマス・ジンのレシピを用いて造られたスピリッツに、ブラックソーン(スピノサスモモ)の野生果実である厳選されたスローベリーを時間をかけて浸漬することで、果実本来の甘みと穏やかな酸味が、ジンのボタニカルな特徴と一体化する。その結果、豊かな風味を備えたリキュールとなり、このカテゴリーにおける国際的な基準となっている。
香りには、熟したブラックベリー、レッドチェリー、プラムのプレザーブ、アーモンドが際立ち、ジュニパー、オレンジピール、繊細なスパイスが重なる。口に含むとベルベットのように滑らかで甘く、贅沢な味わいだ。シルキーな口当たりのなかに、甘いダークベリー、ダムソンプラム、ブラックチェリー、マジパン、シトラスゼストが広がり、控えめなジュニパーが骨格と清涼感を与えている。
フィニッシュは長く、甘く、なめらかで、見事なバランスを備える。ベリー果実、ほのかなアーモンド、繊細なボタニカルスパイスの余韻が残る。
ヘルノ・スロー・ジン、アルコール度数30%、700ml マスター・メダル受賞
スウェーデンで国際的に高く評価されるヘルノ・ジン蒸留所が手がけるヘルノ・スロー・ジンは、同蒸留所の受賞歴あるオーガニックジンをベースに、厳選したスローベリーを浸漬して造られる。甘さを強調するのではなく、ヘルノはフレッシュさ、ボタニカルの明瞭さ、果実の鮮やかな酸味を保つことに重点を置き、この伝統的なスタイルを極めてエレガントに解釈している。
香りには、フレッシュなスローベリーに加え、野生のブラックベリー、ジュニパー、オレンジゼスト、フローラルなボタニカル、シナモン、軽やかなハーブのニュアンスが感じられる。口当たりはシルキーで、生き生きとしており、バランスも美しい。ジューシーなダークベリーに、シトラス、フレッシュなジュニパー、コリアンダー、穏やかなスパイスが寄り添い、果実の豊かさがありながらも印象的な清涼感を生んでいる。フィニッシュは長く洗練され、ベリーの甘み、柔らかなスパイス、シトラスオイル、きりりとしたボタニカルの高揚感が余韻として残る。



