物理オリンピック出場者が創業したカザフスタンのスタートアップが、いまや中央アジア発の非上場企業としてはほぼ最高水準の評価額を付けている。
エルザット・ドゥラトとアレックス・マシュラボフが立ち上げたAI動画プラットフォーム「Higgsfield」は1月、シリーズAの延長ラウンドをクローズし、調達総額は1億3000万ドル(約209億円)を突破、評価額は13億ドル(約2090億円)を超えた。これにより同社は、同地域で初のベンチャー支援ユニコーンとなった。この一件は、ロシアと中国に挟まれた5カ国を、世界の資本がもはや後回しにしていないことを示している。
ベンチャー市場は世界基準ではなお小規模だが、その拡大は急速だ。
タシケントで開かれた中央ユーラシア・ベンチャーフォーラムでRISE Researchが発表したレポートによれば、中央アジアのVC市場は2025年に3億2000万ドル(約514億円)に達した。うちHiggsfieldのラウンドと、ウズベキスタンのEコマース大手Uzumによる6550万ドル(約105億円)の調達の2件で全体の61%を占めている。この2件を除いても、残りの市場は前年比31%成長している。こちらの数字のほうが示唆に富む。アーリーステージの資金調達が、一部の突出案件に依存するのではなく、裾野を広げつつあることを意味しているからだ。
明確な中心地はカザフスタンだ。2025年の同国へのベンチャー投資額はほぼ3倍の2億900万ドル(約335億円)に達し、そのうち約半分をAI関連が占めた。同地域最大のテクノロジーパークとなったアスタナ・ハブによれば、入居企業は2024年だけで1億7700万ドル(約284億円)の投資を呼び込み、テクノロジー分野の輸出額は4億8100万ドル(約771億円)に上った。ウズベキスタンは規模こそ小さいが低いベース(比較対象となる初期数値)から急速な拡大を続けており、スタートアップ向け資金調達額は2022年から11倍以上に増え、2025年は3380万ドル(約54億2000万円)に達した。
欧州復興開発銀行(EBRD)は今年、初開催となる「中央アジア・スター・ベンチャー」ファイナリスト13社を選出。うち7社がウズベキスタン企業であり、地元のマネジャーたちは外部資本の到来を待つのではなく、すでに地域を結び付ける動きを進めている。



