世界最高峰のマーケティング・コミュニケーション・イベント「カンヌライオンズ」が、2026年も6月22日~26日に開催された。
73回目を迎える今年は、92の国と地域からの応募総数が2万50点(日本からも447点のエントリー)、世界中から1万人を優に越えるであろう参加者が集まった。フランスを襲った熱波の影響で、例年よりも随分と暑いカンヌだったが、同時に世界の広告業界 / マーケティング業界 / メディア業界 / クリエイティビティ業界の熱気も、例年同様に感じられた。また、カンヌライオンズのもう1つの魅力である数々のセミナー(200以上と言われている)も活発に繰り広げられた。
今年21回目の参加となった筆者は、例年通り多くの刺激とヒントを受け取って帰国した。その一端を読者の皆様に、前編と後編の2回に分けて、お届けして行こう。

会期全体を通して、筆者は大きく2つの傾向を感じた。そのひとつが「広告枠から踏み出て、使えるものは何でも使おう!」だ。今回はこの傾向を、3つの事例を紹介しながら解説する。
1つ目の事例は、アウトドア部門グランプリの「Field Barcode」だ。
広告主はMercado Livre(メルカド・リブレ)という南米でメジャーなECサイトだ。同社はネーミングライツを買ったサッカースタジアムのピッチ(グラウンド)の芝の模様をバーコードに仕立てた。ピッチ全体がメディアに映った際にスマホ等で撮影するとバーコードが読み取れ、自社ECサイトで使える25%オフのクーポン券にアクセスできる仕組みだ。AIを活用することで、斜めに映ったピッチ(つまりバーコード)でも問題なく読み取れるように工夫された。
アウトドア部門は、カンヌライオンズ31部門の中でも“クラシックトラック”に分類されている伝統的な部門で、広告枠の中でいかに斬新な表現が出来るかを競ってきた部門だと言える。しかしこの事例は“屋外看板でどんな表現をするか?”といったことは、まったく考えていない。サッカー場全体をバーコードに見立てて、テレビに映ったものでも25%オフのクーポンがもらえるなんて、驚きの発想である。



