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ビジネス

2026.07.19 17:14

なぜ「信頼」がグローバル資本のインフラになったのか

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資本のあらゆる時代には、何が拡大するかを決定づける目に見えない層が存在する。産業の時代には、それは鉄道、製造業、そして商品を高速で移動させる能力だった。デジタル時代には、ネットワーク、データ、ソフトウェアだった。今日、これらの基盤はいまなお重要である。しかし、それだけではもはや十分ではない。テクノロジーが加速するなか、私たちの時代を左右する決定的な層は「信頼」だと私は考えている。すなわち、制度、市場インフラ、ガバナンス、そして人間の判断と機械の能力のあいだに位置するシステムへの信頼である。

この認識は、今年4月に香港で開催されたHSBCのグローバル・インベストメント・サミットで明白だった。そこには5000人の参加者が集まり、マネー、貿易、テクノロジーの未来を議論した。このサミットは、私が毎年参加する一連のイベントに新たに加わったものだ。香港に戻ることは、個人的な意味もあった。キャリアの初期を過ごしたこの都市を再訪する機会だったからである。多くのことはなじみ深く感じられたが、私たちがいま活動している世界は、もはや当時とは異なる。

中東で起きているような激変は、資本の流れを変える傾向がある。そして、こうした変動性はもはや一時的な混乱とは見なされていない。むしろ、多くの人が「世界経済の変動性」をグローバル経済の特徴として捉えている。HSBCの調査(ダウンロードが必要)では、回答者の95%がそうした見方を示した。

世界的な混乱を背景に、ムードは防御的な姿勢から目的意識を持った姿勢へと移り始めている。そして、いま金融セクターの議論を支えていると私が見ている根底の問いはこうだ。グローバル資本のルールが書き換えられつつあるなかで、なお信頼できるシステム、機関、法域はどれなのか。

配管は変わりつつある:マネーと市場インフラ

信頼はしばしば、ソフトな概念として扱われる。市場に組み込まれたものではなく、市場に隣接するものと見なされるのだ。しかし、この見方を維持することは難しくなっている。実際には、信頼は資本が移動し、取引相手同士が取引し、新たなテクノロジーが機関投資家レベルで採用されることを可能にする隠れたアーキテクチャである。たとえばデジタルマネーは、理念からインフラへと移行した。ステーブルコインも、もはや単なる暗号資産の話ではない。

ステーブルコイン発行会社のCircleは、2025年のSEC提出書類で、USDCがオンチェーン取引で41.4兆ドル(約6720兆円)超に利用されたと述べた。これは、デジタルドルが実際の決済・清算フローにどれほど深く入り込んだかを示すものだ。この変化を推進しているのは、暗号資産ネイティブ企業だけではない。市場インフラの老舗であるEuroclearも、「Euroclear 3.0」の旗印のもと、よりデジタルでデータ駆動型の決済に向けて構築を進めている。既存プレーヤーがトークン化市場に適応するとき、その変革は制度的なものとなる。

規制当局も動いている。香港金融管理局はサミットの数日前、初のステーブルコイン発行者ライセンスを付与した。私の見方では、これは香港が金融の未来に関与する意思を持っていることを示している。規制上の問いは、もはやデジタルマネーが重要になるかどうかではない。それが拡大する条件を誰が定めるのか、である。

ルールは書き換えられている:貿易と地政学

再交渉は地政学にも及んでいる。元米通商代表で、現在は外交問題評議会会長を務めるマイケル・フロマンは、私たちが知ってきた多国間のグローバルなルールに基づく貿易体制は「死んだ」と書いた。

投資家にとって、その含意は明確だ。資本配分は、成長率やバリュエーションだけでなく、政治、レジリエンス、法域の信頼性によってますます形づくられている。

人的変数:AI、信頼、リーダーシップ

システムやライセンスに関するあらゆる議論があるなかで、信頼という点において信じられないほど重要性を増しているものが1つある。それは「ナラティブ(語り口・物語)」である。実績だけで信頼を築くのでは不十分であり、特に多くの消費者は「存在意義(レゾンデートル)」を理解したいと考えている。

AIがソフトウェアから物理的な世界へと移行するにつれて、この教訓はさらに重要になる。サンフランシスコ連邦準備銀行の総裁兼CEOであるメアリー・C・デイリーは、間近に迫った生産性の急上昇というナラティブに異を唱えた。彼女は2月に、AIの影響は依然として不透明であり、変革には時間がかかるため、政策立案者は憶測と証拠を区別すべきだと書いている。生産性向上による恩恵は、市場が織り込んでいるよりも遅れてやってくる可能性がある。

次の段階で重要になる機関は、最良のモデルを持つ機関ではない。人間の判断と機械の能力が接する地点で、信頼の問題を解く機関である。

リーダーがいま実行できること

マクロ環境やコミュニケーションの転換期においてリーダーに助言する私の仕事では、同じパターンが繰り返し浮かび上がる。資本は転換点にある。それは単一のテクノロジーや政策転換のためではなく、それらすべての下にある基盤層が一斉に再構築されているからだ。そこから、3つの実践的な転換が導かれる。

1. 信頼をメッセージングではなく、インフラとして扱う。組織は、取引相手、法域、テクノロジー、評判といった各レイヤーにおける信頼への依存関係を監査する必要がある。重要なシステムを強化するのと同様に、意図的にこれらを強化すべきである。

2. 法域へのエクスポージャーを意図を持って分散する。場当たり的な連合が形成される世界では、信頼性は個別資産ではなく、規制当局や法域のレベルにますます宿る。自社のエクスポージャーをそれに応じて把握すべきだ。

3. 市場が求めるよりも早い段階でAIガバナンスに投資する。次の段階における勝者は、従業員、取締役会、顧客、そして規制当局に対して、「なぜ(理由)」を明確に説明できる組織になると私は考えている。

信頼はいま、市場インフラの一部として理解されるべきである。それは何が拡大するか、資本がどこへ流れるか、どの法域が信認を得るかを左右する。信頼は、目に見えるあらゆる取引の下にある目に見えない層であり、リーダーが当然視する余裕のないものなのである。

forbes.com 原文

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