AIは次のイベントを構想できる——だが、それは現実世界で通用するか?
次のイベントの計画をAI(人工知能)に依頼するのは、興味深い試みかもしれない。しかし、AIが想像できることと、イベントのパートナー企業が実際に実行できることとの間のギャップは、想像以上に大きい。
最近、あるクライアントがAIで生成したイベントコンセプトを携えて、私たちのところに相談にやってきた。そのコンセプトには、ステージ上のCEOの真上に配置された、複数の照明器具が取り付けられた2つの交差するアーチという、劇的なステージ演出が含まれていた。画面上では、ツアー中のロックバンドにも引けを取らないほど壮観に見えた。
問題は何か。それを実際に建てることは無謀──いや、危険とすら言えるものだった。あのような複雑な構造物を登壇者の頭上に吊り下げるのは、単に費用のかかるロジスティクス上の課題にとどまらない。会場の使い勝手を制限し、賠償責任のリスクを劇的に増大させる。
「壮大な(big)」アイデアと「優れた(good)」アイデアの間のこうした乖離は、AIがイベント企画のクリエイティブなパートナーとして利用されるようになるにつれ、イベント業界でますます頻繁に目にするようになっている。AIは確かに、数秒のうちに魅力的なコンセプトを生成し、没入感のあるテーマを提案し、体験の概要をまとめることができる。しかし、AIにできないのは、その体験が建設可能か、予算内か、安全か、あるいはブランドの方向性と一致しているかを判断することだ。
AIが一貫して見落とす問い
AIを使うにせよ、従来の方法で行うにせよ、イベントのコンセプトをブレインストーミングする前に、答えるべきいくつかの根本的な質問がある。私たちの経験上、AIは通常、そのすべてを無視するか、読み違えてしまう。最も重要だと考える5つを挙げよう。
1. 実際に何を達成しようとしているのか?
明確な目的のないイベントは、単なる集まりにすぎない。最も効果的なイベントとは、製品発表、組織文化の構築、功績の称賛、顧客関係の深化など、具体的な望ましい成果を中心に設計されているものだ。AIは体験を提案することはできても、戦略的目標を定義したり測定したりすることはできない。
2. 現実的な予算はいくらか?
私たちは、見た目は素晴らしいものの、クライアントの実際の予算とは完全にかけ離れた、AIが生成したイベントコンセプトを数多く目にしてきた。このことからわかるのは、AIには現実世界における制作要素のコスト感覚がまったく備わっていないか、あるいは、少なくとも人間のイベントプランナーが行うようなリサーチを行っていないということだ。そうした裏付けがなければ、そのコンセプトは本質的にフィクションにすぎない。
3. イベント計画はブランドと一致しているか?
私たちがクライアントにアドバイスしているコツの一つは、AIにアイデアを生成させる前に、ブランドのスタイルガイドを読み込ませることだ。これで完璧な整合性が保証されるわけではないが、乖離を大幅に縮めることができる。ブランドの整合性とは、フォントやカラーパレットを合わせることだけではない。本当に必要なのは、イベントの参加者がブランドとどのように関わるかという、より総合的な視点である。
4. 舞台演出は実際に施工可能か?
これは、冒頭の例で挙げたドラマチックなアーチの話につながる。AIは視覚的かつ概念的にアイデアを生成する。しかし、構造的な荷重、リギング(吊り具)のロジスティクス、電力要件、現地の条例、施工スケジュールなどを自動的にシミュレーションしてくれるわけではない。イベントデザイナーは、ベンダーや会場との契約に至る前に、こうした観点からAIが生成したコンセプトを評価する必要がある。
人間のイベントパートナーの選び方
AIが生成したものであれ、その他の方法であれ、コンセプトが決まった後の実行力は、それを形にするために誰を雇うかに完全にかかっている。すべてのイベントパートナーが、与えられたビジョンを実現するための同等の体制を整えているわけではない。そのため、尋ねるべき具体的な質問がいくつかある。それらは以下の通りだ。
• これまでにこのようなイベントの実績があり、参照できる事例はありますか?
ライブイベントでは経験が極めて重要である。同様の規模や形式を実行したことのあるパートナーなら、あなたがまだ考えていない問題を予見できる可能性が高い。
• 機材はどこから手配しますか?
地理的な要因は、クライアント(そしてAIモデルも)が見落としがちな要素である。マイアミに拠点を置くイベントパートナーが、オハイオ州コロンバスでイベントを実行する場合、機材をトラックに積んで24時間かけて移動させることになる。ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドン、パリでイベントを開催するには、それぞれの市場に現地インフラを持つパートナーが必要となる。私の経験上、物流の失敗(機材の到着遅れ、破損、不着など)は、現場の混乱を引き起こす最も一般的な原因の一つである。
• 提携しているベンダーパートナーは誰ですか?また、彼らの見積もりはどうなっていますか?
私たちが警戒すべき注意信号(レッドフラッグ)としているのは、イベント運営会社が、AV(音響・映像)ベンダーや制作パートナーと、プロジェクトの具体的な要件についてまだ話し合っていないケースである。これらの不可欠なパートナーからの実際の見積もりを提示できないのであれば、彼らは現実的な数値を把握していないということになり、AIのアイデアに基づいた制作予算を構築することはできない。
AIと予算を巡る状況
私たちがこれまでに何度も遭遇したシナリオがある。イベント会社がクライアント向けに詳細な提案書を作成したとする。クライアントはその提案書をAIツールに入力し、それが「本来」いくらかかるべきかを尋ねる。AIは劇的に低い金額を算出し、クライアントは突然、自分たちが不当に高い料金を請求されていると信じ込んでしまうのだ。
これは、請負業者からキッチンのリフォームに100,000ドル(約1620万円)かかるという提案を受けた後に、AIにキッチンのリフォーム費用を尋ねて、50,000ドル(約812万円)だと言われるようなものだ。なぜこれほど大きな乖離が生じるのだろうか。私の経験上、AIは特定の場所における人件費、機材レンタル費、特殊な施工費、労働組合の規定料金など、現在の現実世界の市場価格を考慮に入れることはほとんどない(あるいは、そうしたデータにアクセスすらできないこともある)。
この不一致は、それまで存在しなかったクライアントとイベントパートナーとの間の信頼問題を引き起こす可能性があり、残念なことに、それはイベントが形作られる前から始まってしまう。確信が持てない場合は、より詳細なリサーチを行い、自身のイベント形式の平均的な実世界コストが、イベント会社の提案とAIが生成した見積もりのどちらに近いかを確認すべきだ。前者である可能性が非常に高い。
AIの理想的な役割
私は、AIはイベントのアイデア出しにおいて、本当に有用なツールであると信じている。わずか1年前なら数日はかかっていたであろう方法で、アイデアを刺激し、新鮮な視点を提供し、初期段階の思考を加速させることができる。
しかし、次のイベントの客席にいる人々は、派手なコンセプトなど覚えていないかもしれない。彼らが覚えているのは、会場の雰囲気が適切だったか、登壇者の声が聞こえたか、夜の進行が長引いたか、それとも正確に時間通りに終わったかである。それはAIが作り出したり測定したりできるものではない。
AIがあなたのイベントのためにどのようなアイデアをブレインストーミングできるか試してみるといい。そして、そのAIが生成したコンセプトを、実績のある現実の制作パートナーのところに持っていこう。彼らは、何が構築可能で、何が不可能なのか、そして実際に何が人々の心に響くのかを教えてくれるはずだ。



