中国を語らなくなったことには、2つの意味がある
ここでの評価は功罪相半ばするが、どちらかといえば安心材料が勝る。大きな成長市場を事実上失ったことは憂慮すべきで、その現実は、同社全体の売上成長率が過去3年平均から鈍化したことにも表れている。中国のような市場を失えば、当然その代償はある。
しかし、同社の対応ぶりは、戦略の柔軟性が並外れていることを示している。経営陣は損失にとらわれる代わりに、CPUという新たな成長路線を打ち出した。同社の数字を信じるなら、その規模は失った売上をはるかに上回る。大胆で野心的な方向転換だ。
今後注視すべきは実行力である。来四半期に発表されるCPU売上の確定値を見て、この新しい物語が数十億ドル(数千億円)規模の潜在力を本当に発揮できるのか、見極めることになる。
あなたの知っているエヌビディアではない
この気づきは衝撃的だ。あなたが保有しているつもりのエヌビディア、すなわちGPUの絶対王者は、いつの間にか別の投資対象に変貌していた。今や同社は総合システム企業であり、今後の成長はCPU市場の制覇に大きく依存する。乗り越えられない地政学的な壁に直面したがゆえの転換だった。この変貌に気づくには、同社の「沈黙」に耳を澄ます必要があったのである。
なお、半導体セクターに関心があるなら、1企業が語らないことに左右されるより、SMHのような半導体ETFでこの業界全体をカバーする手もある。
NVDAはかつてピークから66%下落した経験を持つ
経営陣が問いに答えないままでいるとき、その不確実性の重みを最も感じるのは、この株を大量に保有する投資家だ。今でこそ最高値圏にあるNVDAだが、過去5年の間には、ピークから66%下落した局面を経験している(編注:2022年ごろ。インフレと急速な利上げ、ゲーム向けGPU需要の急減、暗号資産マイニング市場の縮小などが重なった)。これほどの下落は、1つの銘柄が資産の大きな部分を占めているときには、まったく違った意味を持つ。


