ロボット導入の採算は最近、急速に良くなった
経済性をたどれば、労働者側が直面している課題が見えてくる。
Atlasの価格はかつて20万ドル(約3260万円。1ドル=163円換算)を超えていた。サムスン証券の推計によると、量産初期の現在は、1台あたり推定13万〜14万ドル(約2119万〜2282万円)だ。しかも、累計生産台数が5万台を超えれば約3万ドル(約489万円)まで下がるという。Forbesが独占報道したとおり、Atlasの構造と材料がほぼ1桁分ほど簡素化されたことが主な要因だ。さらに同社は2028年までに年間3万台のロボット生産を計画しており、米国事業には260億ドル(約4.23兆円)の投資を確約済みだ。この中には、ロボット工場と、年産35万台規模の現代モービス製アクチュエーター(ロボットの関節を動かす駆動装置)工場が含まれる。
Atlasは人間にできることを何でもこなせるわけではない。それでも、地球上で最も高性能なヒューマノイドロボットの1つであり、力が強く、機動性に優れ、工場の生産管理ソフトウェアとも連携している。
最近ボストン・ダイナミクスの残り持分の取得を進めているヒョンデは、こうしてヒューマノイドロボットの世界最大のメーカーであると同時に、世界最大の顧客にもなる道を歩んでいる。テスラも対抗馬ではあるが、同社のロボット「Optimus(オプティマス)」の能力は、現時点ではAtlasに遠く及ばない。
高い能力を持つ約3万ドル(約490万円)のロボットが3交代制で働き続け、労使上の不服を申し立てることも、昇給を求めることも、定年を迎えることもない。経営側から見れば、これほど魅力的な話はないだろう。
重要な先例になる
このストライキによって、ヒョンデはある程度の生産と売上を失うだろう。だが本当に重大なのは、これが先例になるという点だ。
テスラ、BMW、メルセデス・ベンツ、トヨタ、BYD、奇瑞汽車(チェリー)は、いずれもヒューマノイドやAI主導の自動化に巨額の資金を投じている。GMはすでにサプライヤーを自動化の水準で格付けしており、1000人超の人員削減を行ったばかりの工場に、最近50台の「協働ロボット(コボット、人間と並んで作業するロボット)」を追加した。
これらの企業にはいずれも、労働組合なり、従業員なり、労働当局なりが存在し、韓国で起きていることを注視しているはずだ。
結末がどうなるにせよ、ヒューマノイドロボットが人間の仕事を奪うという議論は、もはや抽象論ではなくなった。今問うべきは「この先、事態はどう決着するのか」である。
筆者はヒョンデの広報部門にコメントを求めている。


