レイオフ、経済の不確実性、急速な技術変化、職場の不安が見出しを占めるいま、多くの組織が心理的安全性の重要性を再認識している。従業員が安心して発言し、質問し、前提に異議を唱え、アイデアを共有できるべきだという点では広く合意があるにもかかわらず、そうした行動が継続的に生まれる環境づくりに苦戦するリーダーは少なくない。
このギャップについて、ミネット・ノーマンほど深く考察してきた人物は稀だろう。テクノロジー企業の元エグゼクティブとしてグローバルな技術チームを率いた経験を持ち、現在はリーダーシップコンサルタントや基調講演者として活躍するノーマンは、信頼、率直さ、そしてイノベーションが花開く文化を組織が築く支援に、長年取り組んできた。
カロリン・ヘルビッグとの共著にはベストセラーの『The Psychological Safety Playbook』があり、その続編となる『The Psychological Safety Playbook for Changemakers』も刊行している。
最近の対話で、彼女は心理的安全性は職場における贅沢品ではないと語った。今日の環境において、それは組織のパフォーマンスに不可欠な要素である。
ノーマンは心理的安全性を「質問してもよい、助けを求めてもよい、誰かと意見が異なってもよい、そしてその結果として恥をかかされたり、周縁化されたり、罰せられたりすることはないとわかっている、という信念」と定義する。
その信念は、不確実性の時期にとりわけ重要になる。ノーマンによれば、恐れは職場での人々の振る舞いを変える。レイオフ、組織の混乱、新興テクノロジーに不安を抱く従業員は、自己防衛に引きこもりがちになる。注目を集めかねないアイデアを共有するよりも、目立たないようにするのだ。
「恐れの中にいるとき、私たちは本来の力を発揮できない」と彼女は言う。
リーダーが陥る最大の誤解の1つは、心理的安全性を日々の仕事に組み込むのではなく、別個の取り組みとして扱うことだと彼女は考えている。「私たちは『時間ができたらチーム文化に投資しよう』と考えがちだ」とノーマンは言う。「私が人々に理解してもらおうとしているのは、この取り組みは副次的なものではないということだ。むしろ、日々の業務そのものの進め方なのである」
多くの経営幹部が心理的安全性を公に支持している一方で、ノーマンは、一貫した実践がなお難しいのは、リーダーが必要とされる自己認識の水準を過小評価しがちだからだと指摘する。
「日々の具体的な実践には、確固たるコミットメントと一貫性が必要だ」と彼女は言う。
リーダーは速いペースで動き、絶えずプレッシャーにさらされ、自分の反応が他者にどのような影響を与えるかを認識できないことが多い。不適切に扱われた質問、防御的な反応、いら立った一言は、築くのに数カ月かかった信頼を損ないかねない。ノーマンによれば、リーダーには善意があることが多いが、異議を受けると本能的な行動に戻ってしまう。
「私たちの脳は、私たちを安全に、生き延びさせるという仕事をしようとしている」と彼女は説明する。「攻撃されている、挑まれている、疑問を投げかけられていると感じると、私たちは防御的になる」
心強いのは、そうした習慣は変えられるということだと彼女は言う。
ノーマンは、自身を行動変容のケーススタディとして率直に語る。キャリアの初期、彼女は異議を受けると防御的、あるいは攻撃的に反応することがよくあった。時間をかけて、彼女はシンプルな実践を身につけ、それが最も価値あるリーダーシップツールの1つになった。「間を置く」ことである。
「間を置くことは、非常に強力でありながら、あまりにも活用されていないリーダーシップツールの1つだ」と彼女は言う。
すぐに反応するのではなく、息を吸い、短く間を置き、時には水を一口飲んでから応じる。その瞬間が、防御的な姿勢から好奇心へと移るだけの余白をつくる。
間を置くことの力を示す例として、ノーマンはスティーブ・ジョブズにまつわる有名な場面を挙げた。アップルの開発者会議で、聴衆の1人がジョブズに向かって「あなたは自分が何を言っているのか分かっていない」と率直に言い放った。ジョブズは反撃するのではなく、数秒間沈黙してから落ち着いて応答した。
「気難しい性格で知られていたスティーブ・ジョブズにそれができたのなら、私たち全員にもできる」とノーマンは言う。
リーダーが直面するもう1つの課題は、即効性のある解決策を求めたくなる誘惑である。多くのリーダーは、自分たちの組織は安心して発言できる場所だと宣言し、従業員がすぐにそれを信じると考える。
ノーマンはそう考えない。
「実際に生まれるのは冷笑だ。人々は、それを目撃するまで信じないからだ」と彼女は言う。
従業員は、誰かが異議を唱えたとき、ミスを認めたとき、難しい質問をしたとき、人気のあるアイデアに疑問を投げかけたときに、リーダーがどう反応するかを見ている。信頼は宣言ではなく、観察と反復を通じて育つ。
「人々はあなたを見ている」とノーマンは言う。「あなたの行動を見ている。あなたの応答や反応を見ている。あなたが何を見過ごし、何を許容するかを見ている」
その視線はマネジャーだけに向けられているわけではない。ノーマンは、心理的安全性は全員の責任であると強調した。
「個人として貢献する立場にあるあなたにも、他者が仕事をどう経験するかに対して、自分が思う以上の影響力がある」と彼女は言う。
丁寧に耳を傾ける、同僚が話を遮られないように守る、あまり発言しない人の声を促す、建設的なフィードバックを提供するといったシンプルな行動は、役職に関係なくチームの文化を形づくることができる。
ノーマンが特に強い思いを抱いているのが、一見シンプルな問いである。「私は何を見落としているだろうか」
この問いが有効なのは、自分の限界を認め、そうでなければ隠れたままになりかねない視点を招き入れるからだ。
「『私は何を見落としているだろうか』と言うとき、私はそうした視点を招き入れている」と彼女は言う。「それが、正直であること、そして自分のアイデアを共有することへの招待を生み出す第一歩なのだ」
彼女は、従業員がすでに率直に話しているとリーダーたちが考えていた事例を紹介した。会議で「私は何を見落としているだろうか」と尋ねることを試してみると、普段ほとんど発言しない人々が、支配的な前提に異議を唱える重要なアイデアを出し始めたことがわかった。
代替的な視点を求めるその姿勢は、確証バイアスや集団思考に対抗する助けにもなる。ノーマンは、同意をそれとなく促してしまう「それでよさそうですか」と尋ねるのではなく、異論や探究を招く問いを勧めている。
彼女はまた、即興演劇から借りた考え方である「イエス、バット」を「イエス、アンド」に置き換えることも提唱している。「イエス、バット」はしばしばアイデアを閉ざしてしまうが、「イエス、アンド」は創造性が生まれるのに十分な時間、可能性を生かし続ける。
その変化は小さく聞こえるかもしれないが、ノーマンはその実践を導入した後、チームの力学に劇的な変化が起きるのを目にした。議論はより協働的で、より革新的で、より楽しいものになった。
「突飛なアイデアを全部出し合おう」と彼女は言う。
ノーマンが学んだ最も力強い教訓は、勇気に関する物語から来ているのかもしれない。彼女が語ったある経営幹部は、従業員が新たな情報をもとに異議を唱えた後、重要な意思決定を公に撤回した。そのリーダーは当初、弱く見られることを恐れていた。しかし実際には、逆のことが起きた。
「彼らは絶大な尊敬を得た」とノーマンは言う。
その経験は、彼女がいま頻繁に教えている原則を強めた。よりよい情報に照らして考えを変えることは、弱さではない。それはリーダーとしての勇気である。
心理的安全性の最も重要な土台を1つ挙げるよう求められると、ノーマンは私たちの議論の中で繰り返し浮かび上がったテーマに戻った。
「心理的安全性をつくるうえでの基盤となる原則は、私たちがどう聞くかだ」と彼女は言う。「人は聞いてもらえたと感じると、自分が大切にされている、自分には意味があると感じる」
リーダーシップに関する議論の多くは、戦略、ビジョン、実行、成果に焦点を当てる。ノーマンのメッセージは、人々が自分の最良の考えを安心して提供できないなら、そうした成果のいずれも十分には実現できないというものだ。心理的安全性は、スローガン、調査、スピーチによって築かれるものではない。それは日々の無数のやり取りから生まれる。リーダーが反応する代わりに耳を傾け、思い込む代わりに招き入れ、防御的になる代わりに好奇心を保つ瞬間からである。
不確実性の中で成長する組織とは、最終的には、リーダーが一貫してシンプルな問いを投げかける組織なのかもしれない。「私は何を見落としているだろうか」



