モロッコはすでにアフリカの歴史をつくった存在である。だが、あと1勝すれば、これまで向けられてきた大陸という枠組みを超えた位置へと押し上げられることになる。
アトラスの獅子たちが、ワールドカップ優勝候補フランスとの準々決勝に臨むなか、彼らは勝利すれば、世界のサッカー界のエリートに新たに加わったと見なされるべき水準へ到達することを理解している。
4年前のカタール大会での準決勝進出は、アフリカおよびアラブ諸国として初めて準決勝に到達したという点で特筆すべき快挙だった。そして今大会で準々決勝まで進んだことで、モロッコはワールドカップ決勝トーナメントでの勝利数において、アフリカ勢がこれまで挙げてきた勝利数の合計に匹敵する記録を手にした。
しかし、これは単に黄金世代がその輝きを放っているという物語ではない。モロッコの近年の成功は、連盟の取り組みが実を結んだ結果である。そのため、2大会連続のワールドカップで世界の既存エリートの一角と競い、そして打ち破れることを示せば、重要な一線を画すことになる。
レ・ブルーを破ることがとりわけ特別なのは、この北アフリカの国が築いてきたものの多くが、フランス、スペイン、その他の欧州主要国とのつながりから育まれてきたからだ。
ただし、こうしたつながりは、モロッコ系ディアスポラの中から選手を見いだすことだけに由来するものではない。才能を積極的に発掘することは躍進の重要な要素であり、2026年ワールドカップの登録メンバー26人のうち19人は国外生まれだ。だが彼らは、加入するずっと前から整えられていたナショナル・アイデンティティとシステムに深くコミットする必要があった。
モロッコのマスタープラン
その計画は、およそ20年前に始まった。モロッコにおけるサッカーの近代化を目指す国家的取り組みとして、より広範な国家建設プロジェクトの一環でムハンマド6世アカデミーが設立されたのである。
指揮を執ったのは、キャリアの大半をフランスの有力アカデミーで過ごしたモロッコ人指導者、ナセル・ラルゲだった。同アカデミーは方法論を根付かせ、やがて国内の施設と指導の質を向上させた。
2014年にラルゲがモロッコ王立サッカー連盟(FRMF)のテクニカルディレクターに就任すると、そのシステムは代表強化プログラムの一部となった。男子、女子、フットサルの全カテゴリー、全年代に統一的なアプローチが導入され、欧州で得た知見にモロッコらしさが与えられたのである。
いま目にしているのは、その成果だ。ディアスポラ出身であれ、国内育成プログラムで育った選手であれ、モロッコ代表の環境に入ってくる選手たちは、エリートレベルで競う助けとなる戦術哲学を理解している。
2022年のワールドカップ準決勝進出に続き、2025年にはU-20ワールドカップを制し、今夏も勝ち進んでいる。この間にA代表の顔ぶれが大きく入れ替わっていることは、これが一過性の成功ではないことを示している。アゼディン・ウナヒのように国内の選手育成ルートから生まれた選手がいる一方で、フランス生まれのスター、アイユーブ・ブアディはわずか18歳でモロッコ代表を選択した。
このモロッコ代表は何を成し遂げてきたのか
ピッチ上での近年の成功は勢いを生み出す助けになるが、それをもたらしているのは、モロッコのサッカー界に根づいた指導システムである。
前回ワールドカップで、ワリド・レグラギ監督はこの構想を受け入れ、チームを粘り強く、倒しにくい存在に仕上げて準決勝へ導いた。今年初めには、セネガルとの決勝が物議を醸す結末となったものの、アフリカネーションズカップ王者となった。ただし、その結果には現在も異議申し立てが続いている。
だがレグラギの成功にもかかわらず、後任のモハメド・ワビは、代表チームのDNAにより深く同調している。昇格前には、優勝したU-20代表を率いていたからだ。
この戦術的イデオロギーこそが、モロッコに優位性を与えている。欧州で機能するものを理解し、それを自国の選手層に合わせて適応させているのだ。
実際、そのアプローチにより、モロッコは大会に残るチームの中で、フランスを倒すのに最も適したチームかもしれない。才能あるアタッカー陣を封じ込めるだけの守備力を備え、カウンターで相手の最終ラインを突き破る技術もある。
もしエムバペらを破れば、モロッコは2大会連続で準決勝に進出した名高い国々の仲間入りを果たす。そして大会の残りで恐れる相手はいなくなり、世界のエリートとしての地位は確固たるものになるだろう。
さらに2030年ワールドカップは、モロッコ、スペイン、ポルトガルの共催で行われる。モロッコがその地位にとどまり続け、大陸のためだけでなく、世界的な勢力として旗を掲げることへの期待は高まっていくはずだ。



